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【風を読む】防衛費で韓国に抜かれる日 論説副委員長・榊原智

海上自衛隊のイージス艦「まや」=3月、横浜市
海上自衛隊のイージス艦「まや」=3月、横浜市

 令和3(2021)年度予算案が閣議決定された。防衛費は前年度当初比0・5%増で、過去最多の5兆3422億円である。新型コロナ禍のもとでの財政問題と絡め、防衛費増を批判的に論じる新聞や論者が現れるだろう。

 だが、それは平和ぼけというものだ。防衛力の整備は周辺国の動向を考え合わせなくてはならないからだ。

 安倍晋三前政権期を含め日本の防衛費増額のペースは話にならないほど低調である。毎年ほんの少しずつ増やして過去最多と報じさせる財政当局の計略があるのかと思えるほどだ。補正予算による上積みを考慮しても、このままでは、国防費を長年、大幅に増やしてきた中国にはますます離され、数年後には韓国に追い抜かれる。

 中国が公表した2020年度の国防費は前年度比6・6%増の約19兆1千億円だ。しかも米国防総省は公表額よりも3兆円以上多いとみている。

 令和2年版防衛白書によれば、中国の公表国防費は1990年度から30年間で約44倍になった。2010年度から10年間で2・44倍だ。日本はこの10年間で1・08倍である。増やしたうちに入らない。

 中国の軍事力は米国やロシア、インド、台湾、ベトナム、オーストラリアなども相手にしている。だから日本は中国の額に追い付く必要はないのだが、防衛費の増額自体は欠かせない。

 反日色を強める韓国も警戒すべき時代になった。韓国の2021年度予算案の国防費は前年度比5・5%増の約4兆7千億円だ。文在寅政権の国防中期計画は今後5年間、年平均6・1%増を目指している。

 2026年には約6兆2600億円を上回るという(ハンギョレ新聞日本語電子版)。文政権は「全方位の安全保障の脅威」への対処と称し、軽空母の保有を目指すなど海空軍増強に余念がない。日本をにらんだものだろう。半島情勢の展開次第では米韓同盟の終焉(しゅうえん)もあり得るだけに備えは怠れない。

 宇宙やサイバーといった新たな領域への支出も迫られている。バイデン米次期政権は国防費支出に理解があるか不透明だ。菅義偉政権は防衛費の思い切った増額に動くべきである。抑止力を高めて有事を防ぐほうが平和を保ち支出も少なくて済むというものだ。

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