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【朝晴れエッセー】冬の朝・12月21日

 朝起きると、まず床暖房とコタツのスイッチを入れる。

 京都の冬は底冷えする。生まれてから61年、ずっと京都盆地で暮らしてきたが、年々市内で積雪する日は減ってるのに寒さが身にしむのは、歳のせいなのだろう。

 私が小学生の昭和40年代は、家にはコタツと火鉢しかなかった。火鉢は暖房器具であるとともに、調理器具でもあった。

 母の実家は小さな酒屋を営んでおり、まだ搾れそうな伏見の酒かすをよくもらってきた。母はそれでかす汁を火鉢で朝から鍋でコトコトとにつめていた。

 そして、私が小学校から帰ってくると、鍋はほぼできていて、今度は火鉢にあみをかけ、かすをキツネ色に焼いて、黒砂糖をのせ「おやつ」として食べさせてくれた。

 私はそれを食べると少し気分が良くなり、火鉢のむこうで赤くなった私の顔を、笑顔で見ている母の顔がゆれて見えた。

 現在のわが家はオール電化で火を使わない。最近寒い朝に窓を開けると…外にある電気温水器の上でノラ猫が暖を取っている。

 それを見ると、かつて火鉢に火を入れる母に「早くしてよ」と言い、火鉢をかかえるようにしていた、子供の頃の姿と猫がダブって見える。

池上博 61 京都市南区

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