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【一筆多論】勝利を疑わぬ人々 渡辺浩生

11月21日、米南部アトランタで、大統領選の結果に抗議するトランプ大統領支持者ら(ロイター)
11月21日、米南部アトランタで、大統領選の結果に抗議するトランプ大統領支持者ら(ロイター)

 トランプ米大統領の勝利を信じる米国人2人から先月中旬、メールが届いた。

 ひとりは80代の白人男性の物理学者。筆者がワシントンに駐在した際の隣人のひとりである。

 「大統領選は不正に包まれてしまった。選挙プロセス全体の正当性に疑問が投げかけられている…誇張ではない。選挙は民主党活動家によって不正に操作され、窃取された」

 もうひとりはワシントン近郊に住む50代の白人男性。キリスト教福音派の熱心な信者で「神は米国の偉大な事業のためにトランプ氏を選んだ」という。「事業」とは、人工中絶の禁止といった福音派の主張の実現に他ならない。

 「大規模な不正と汚職が選挙にあったと私たちは考える」「いずれ不正が暴露され、トランプ氏が地滑り的に勝利すると信じている」と書かれていた。

 2人の訴える「選挙不正」は(1)事前の郵便投票を通じた操作(2)各開票所の集票機のソフトウエアに組まれたアルゴリズムによる票の改竄(かいざん)-という内容で、トランプ氏本人や陣営が続ける主張の受け売りだ。

 物理学者は共和党のレーガン政権(1981~89年)で対ソ連のミサイル防衛開発に参画したことを誇りとした。メールには、民主党の急進左派や人種差別解消を求める「黒人の命は大切(BLM)」メンバーを「共産主義者」と危険視し、「民主党が勝てばマルクス主義が採用され、個人の自由が失われることになる」と不安を吐露した。

 福音派の男性も「米国に精神的な闘争が起きている」と指摘し、大手メディアを「腐敗している…ニュースとして流されるのは(バイデン前副大統領側の)プロパガンダにすぎない」と断言した。

 米紙の出口調査によれば、白人男性の61%、白人福音派の76%がトランプ氏を支持した。2人の文面にも、白人社会の伝統的な価値観や信仰が、民主党の推進する移民拡大や社会の多様化に脅かされるという危機感がにじんでいた。

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