PR

ニュース コラム

【主張】コロナ対策 菅首相の言葉は響いたか

 菅義偉首相が4日、臨時国会の5日閉幕を前に記者会見を行った。東南アジア歴訪時を除けば9月16日の就任会見以来、2回目となった。

 新型コロナウイルスの感染拡大が進む中、菅首相が会見に臨んで自らの言葉によって、収束への決意と方策を語ることが必要になっていた。

 新型コロナの新規感染者や重症者は過去最多となっている。首相は会見で「極めて警戒すべき状況が続いている。強い危機感をもって対応している」と語った。

 だが、その覚悟が十分に伝わったとは言えない。

 ワクチンの無料接種に向け、承認後直ちに必要な人に接種できるよう準備に万全を期すと強調したのは妥当だ。飲食店の営業時間の短縮が「極めて重要」として協力店への支援を表明した。医療機関や高齢者施設の支援も語った。

 問題は、首相が人の移動の抑制について、新たな対策も方針も示さなかったことである。

 大阪府は3日、医療非常事態宣言を出し、府民に15日まで不要不急の外出を控えるよう求めた。

 厚生労働省に助言する専門家組織は同日、通常医療との両立が困難になり始めていると警鐘を鳴らした。脇田隆字座長は20歳代から50歳代の移動を抑える重要性を指摘した。

 それと比べ、菅政権の打ち出した政策は逆の方向のようだ。首相は3日、人の移動を推奨する観光支援事業「Go To トラベル」の延長を表明した。感染防止対策の徹底を前提とするが、今決めて公表する話なのか。

 コロナ対策と経済社会活動の両立が望ましいが、状況に応じてブレーキとアクセルを踏み分ける必要はある。

 政治のリーダーが、国民に移動の抑制に重点を置いて呼びかけるべき時期なのに、首相の言動はそうなっていない。大阪府が外出自粛を呼びかけた翌日、大阪市内ではいつも通りの人出のように見える地域もあった。政権が移動を推奨したままでは、府の呼びかけ効果が減じるのは道理だろう。

 首相の下でコロナ対策に取り組む西村康稔経済再生担当相は、大阪の医療崩壊を避けるために「この10日間が本当に正念場だ」と語っている。首相は会見で、今は移動を抑えようという明確なメッセージを発信すべきだった。君子は豹変してもよいのである。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ