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【朝晴れエッセー】電動アシスト自転車・12月3日

 念願の電動アシスト自転車がやってきた。オリーブグリーンの車体が輝いて、眺めているだけでうれしさが込み上げてくる。

 急な坂道を登らなければ駅まで行けない。必死で立ち漕ぎをすれば何とか上がりきることができた時代はとうに過ぎ、押して歩くだけで息切れがし、コロナ禍でマスクをしている近頃では特に苦しかった。

 平坦な道が続く隣町へ行くか、バスを使うことが多くなっていた。フーフー言っている横をスイスイと追い抜いていく電動アシスト自転車を見ながら、いつか私も乗りたいと思いつつ、今乗っている“愛車”も手放し難かった。

 還暦を迎えた祝いに、実家の母を東京に招いたとき、母から祝儀をもらった。「娘が還暦なんてね。私も長生きしたわね」と言っていた。

 そのときに、この祝い金をもとに電動アシスト自転車積み立てを始めようと思い立った。日頃からやり繰り下手なものだから、そう簡単にはたまらなかったが3年越しにようやく目標達成となった。

 今までの自転車とは違う気がして、少し慎重にペダルに足を乗せ、ゆっくり漕ぎ出す。モーターの音がしてアシストが始まる。1日目は平坦な道を少しだけ走り終了。さて2日目は晴天のなか、急坂を越えて駅まで出発。

 強くペダルを踏み込むと、後ろから押されているかのように前進する。「誰かに背中を押されている感じ?」。何だか元気が出てきた気がしてうれしくなった。

 これは、母がくれた想いが背中を押してくれているんだ、と思った。交通規則を守り、大事に乗ろうと誓った。

 熊田美穂 63 東京都国分寺市

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