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ニュース コラム

【朝晴れエッセー】妻からの贈り物・11月19日

 私は数年前から認知機能と運動器官の衰え始めた86歳の妻(要介護4)を介護している卒寿を過ぎた老人です。

 厳しい老老介護の日々をよくよく振り返ってみると、いつしか料理がうまくなり、持病の「坐骨神経痛」なども鳴りを潜めている。

 ひと手間でも省きたいとの思いから家事の改善も数知れず、その度にささやかな喜びをふたりで分かち合う。

 温かい人々のおかげで苦しい介護の中にも喜びのあることを知り、2人の顔はおのずとほころぶ。また人様のご恩、ふれあいの喜びは「老いの孤独」も忘れさせ良いことずくめである。

 これらはひとえに、いくつもの死活の大病を乗り越えながら、今では立つことさえできなくなった「妻からの贈り物」だと気がついた。そして笑顔を絶やさず「治ったら私がするね」などの言葉に「一緒に頑張ろう」と気持ちが漲(みなぎ)り「笑顔の尊さ」も教えられた。

 かつて介護に不慣れな頃の私の怒声に、寂しく悲しげな表情で「ほっといて」と言った妻の顔に今でも自責の念に駆られる。

 ショートステイの日数も増えていくなか、介護制度のあるこの国に生まれ合わせたありがたさをしみじみとかみしめている今日この頃である。

 老老介護は厳しく、またくじける日も多いが、「自助」「共助」「公助」そして「絆」の底を流れるものは「人間として」助け合う共生の思想ではなかろうか? ここにこそ生きる喜びと力がおのずと湧きいでるに違いない。

 「みなさん、本当にありがとう」「妻よ、ありがとう」

 吉田英一 91 神奈川県座間市

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