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【朝晴れエッセー】13,800円・11月11日

 フランク永井の「13,800円」の歌が流行した年、私たちは結婚しました。

 主人の月給は歌と一緒で「13,800円」でした。共同便所、共同炊事場、6畳一間で、それでも幸せでした。

 私たちは10年後こつこつとためたお金で飲食店を始めました。生活が豊かになると、酒好きの主人が1日にお酒を1升飲み、タバコを40本吸うのです。

 心配して口やかましく言う私に、「俺が死んでも焼き場に金を払うなよ。俺の体はマッチ1本で火がつくからな」と言っていましたが、48歳のとき、「胃」「大腸」とガンに侵されて3年の闘病生活の末亡くなりました。

 残された店を店員さんと朝早くから夜おそくまで頑張りました。

 そして65歳になったとき、自分の人生を振り返り、戦争と貧しさで行けなかった高校へ行こうと思いました。まず50年間の空白を埋めるために、夜間中学に2年間、そして念願の定時制高校に4年間休まずに通いました。

 同級生は孫と同年代、先生は息子や娘と同年代です。「遠足」「運動会」「文化祭」。若い人たちとそれは楽しい学生生活を送り、「成績優秀賞」を頂き71歳で卒業しました。

 今、私は子供や孫たちが優しく大切にしてくれるので幸せですが…私の行くところはきまっています。永い間待ってくれている主人のところです。あの懐かしい「13,800円」の歌を大きな声で2人で歌いましょうね。

山下幸子 86 大阪府岸和田市

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