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【ソウルからヨボセヨ】パニックは誰のせい

インフルエンザ予防のワクチンを接種する男性=10月23日、韓国・ソウル(ロイター)
インフルエンザ予防のワクチンを接種する男性=10月23日、韓国・ソウル(ロイター)

 韓国で報道の難しさを考えさせられる問題が持ち上がった。10月中旬、インフルエンザ予防のワクチン接種後に高校生が死亡したのを契機に、接種後の死亡例が次々報告された。11月3日現在の死者は88人だ。

 今年は新型コロナウイルスとインフルの同時流行が懸念されている。9月、ずさんに管理されていたワクチンが大量に回収された問題が人々の不安に輪をかけた。「接種後の死亡」は一時、韓国社会で最大の関心事となり、メディアは連日大々的に報じた。

 野党は「死を呼ぶ毒薬」だと政府のワクチン管理を批判。記者の周囲でも高齢者や、子供を待つ親が「怖い」と接種を控える一種のパニックに陥った。

 保健当局は「死亡と接種の関連性は非常に低い」と繰り返し説明。昨シーズンは65歳以上の高齢者約1500人が接種後1週間以内に亡くなっていたとのデータを示した。接種と関係ない死亡までなくすのは無理な話で、今年の死者数が異常に多いわけでもない。最初の高校生の事例も毒物が原因と判明し、自殺の可能性がある。

 報道はトーンダウンしたが、接種は「安全だ」と太鼓判を押す記事も目にしなかった。当局も接種と死亡が百パーセント無関係とは断言できない。責任は曖昧なまま、人々の不安感だけが残された。(桜井紀雄)

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