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【朝晴れエッセー】パパの娘・11月2日

 どうしても手に入れたかった絶版本を中古で見つけ、購入した。

 中古だったので、表紙は傷み、栞(しおり)の紐(ひも)は短く切られてしまっていた。それでも、この本をようやく自分のものにできたことが、何より喜ばしかった。

 だが、これ以上の劣化は防がねばならない。そうだ、ちょうど良いものがあった。

 私は急いで使用済みA4サイズの封筒を持ってくると、それを迷わずカッターで縦に解体。内側を表紙にし、本の大きさに合わせて折り曲げ、即席ブックカバーをこしらえた。

 われながら、ナイスアイデア。別にカバーにこだわらなくたって、これで大切なこの本を傷から守れる。紙質もしっかりしているし、完璧。満足げに、即席ブックカバーの施された本を優しくなでた。

 その時、ふと思い出した。私の教科書にかぶせられた、白いブックカバー。父が使用済みカレンダーの裏面を用いて作ってくれたものである。

 他の子はかわいい柄の包装紙や布の立派なやつなのに。どことなく漂うわびしさに、あまりいい気分ではなかった。正直、嫌だった。

 ところがどうだ。私は今まさに、あの時の父をまるで手本にするように、無意識に同じ行動をしてしまっているではないか。じわじわとおかしさとムズ痒(がゆ)さが込み上げてきて、声を出して笑った。

 あぁ、パパの娘だなぁ、私。

 疎(うと)ましく思いつつも気恥ずかしくて、しばらくそのブックカバーを見つめていた。

小川はる音 26 東京都調布市

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