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【日曜に書く】論説委員・別府育郎 わが師の恩

◆暗澹

 兵庫県警が傷害容疑で逮捕した同県宝塚市の中学教諭は、顧問を務める1年生の柔道部員2人に練習と称して背負い投げや寝技の暴行を執拗(しつよう)に加えた。1人は胸椎骨折の重傷を負った。立腹のきっかけは、冷凍庫のアイスクリームを無断で食べたことだったという。教諭は前任校でも体罰で2度の訓告処分を受け、生徒に頭突きして鼻骨を折り、減給の懲戒処分も受けていた。なぜ教壇に残ることができるのか、不思議でならない。

 文部科学省の平成30年度調査では、わいせつ行為により懲戒処分などを受けた小中高教員は282人で、過去最悪を更新した。被害者の約半数は、わいせつ教員の勤務先の児童生徒や卒業生だという。

 教員免許法では懲戒免職や禁錮以上の刑が確定した場合、免許は失効するが、3年後に再取得できる。保護者らの団体は、わいせつ教員らに免許を再交付できないよう法改正を求めているが、文科省は「職業選択の自由」をうたう憲法に反するなどとして二の足を踏んでいる。

 そんなばかな話があるか。憲法22条1項は「公共の福祉に反しない限り」と条件をつけ、無制限にその自由を認めたわけではない。被害者や同級生の心に残る傷の深さを思うと、暗澹(あんたん)たる気持ちになる。

◆幸運

 その点、自分はついていた。それほどひどい先生にあたった記憶はない。特に小学4、5年時の担任とは卒業後も長く交流があり、さまざまな影響を受けた。いささか破天荒な先生ではあったが、何より愛された。

 ジャージーと丸首シャツの姿が常だった。校長に担任を持ちたいと談判し、ネクタイを締めてきたらと条件をつけられて1日だけ背広を着て登校し、われらが担任となった。忘れ物をすると額の真ん中に印鑑を押され下校まで消すことは許されなかった。バス旅行では乗り物酔いに効くからと、ポケット瓶のふたに少しのウイスキーをなめさせられた。放課後は草野球チームのノッカーを務め、女子には卓球を教えた。夏休みには「特訓」と称して連日、水泳教室を開いた。あまりの厳しさに自分は途中で音を上げたが。

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