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【記者発】コロナ時代のメンタルケア ニューヨーク特派員・上塚真由

 先月、ショックな出来事があった。米ニューヨークで数カ月ぶりに美容院に行ったときだ。「これ、伝えてよいのか分からないのですが…」。どこか申し訳なさそうな様子の美容師が言ってきた。

 「10円ハゲができていますよ」。「えっ!」。頭頂部を確認すると、10円玉どころではない、大きな丸形の地肌が露出していた。

 「ほかのお客さんでも同じような人は多いです」と美容師。米国に赴任して4年超がたったが、幸いにもこれまで心身の不調を感じたことはなかった。新型コロナウイルス禍の自粛生活で、知らず知らずのうちにストレスや不安感がたまったのだろうか。鏡に映った自分の頭を見て、意外な繊細さ?に驚き、新型コロナの脅威を思い知った。

 米国人の友人たちに相談すると、受診を勧められたのは皮膚科ではなく精神科。「カウンセリングを受けたほうがよい」と口をそろえる。聞いてみると、大半の人が仕事や結婚生活の悩み、禁煙、禁酒など、さまざまな理由でメンタルケアを受けているのだ。

 ある友人は「恋人探しと同じくらい相性の合うカウンセラーに出会うことは、私の人生にとって重要だ」と言い切る。友人や家族に相談するのもよいが、プロのカウンセラー相手に週に1度、思いのたけを話すことで、生活のバランスを保っているという。

 米国では、何かしらのストレスを抱えた場合は、それを隠さず、ケアをすることが当たり前で、そういう風潮を知るだけでも、ずいぶんと気が楽になった。

 また米国では新型コロナ禍のストレス軽減対策として瞑想(めいそう)も人気が高い。携帯端末アプリのダウンロード数が急増しており、黒人運動の「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」を取材した際は、抗議デモの参加者数百人が一斉に目をつぶって瞑想する場面にも遭遇した。

 新型コロナと心のケアは世界共通の課題で、日本も深刻だ。9月の自殺者が1805人となり、昨年同月よりも143人増えたという。

 ストレスや不安感が極限に達した人は、誰かに打ち明けてほしい。メンタルケアを受けることは恥ずかしくないという風潮が日本にも広まってほしい。そう願わずにはいられない。

【プロフィル】上塚真由

 平成12年入社。さいたま支局、甲府支局、文化部、社会部、夕刊フジ編集部で記者として勤務し、28年5月からニューヨーク特派員。

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