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【スポーツ茶論】見せしめの絞首刑… 無慈悲、非道なイラン当局 黒沢潤

イランの最高指導者ハメネイ師=9月1日、テヘラン(最高指導者事務所提供、ゲッティ=共同)
イランの最高指導者ハメネイ師=9月1日、テヘラン(最高指導者事務所提供、ゲッティ=共同)

 バックパックを背負い、安宿に泊まりながら世界各地を放浪した1990年代後半のこと。独裁者カダフィ大佐が君臨する中東リビアを訪れたくて隣国エジプトの安宿に宿泊したとき、邦人の旅仲間から、次のような話を聞いた。

 「リビアを仕事で訪れた日本人の商社マンがスパイとして疑われ、当局に拘束された後、切れ味鋭いカッターナイフを肛門に差し込まれ、裂かれる凄惨(せいさん)な拷問を受けた…」

 真実か否か不明とはいえ、カダフィ政権下で十分、あり得る話だと思った。同時に、民主主義が根づいていない他の中東地域でも、このような人権蹂躙(じゅうりん)が日常的に行われている可能性があると思った。

                 ■   ■

 イランで最近、レスリングの選手が拷問の末に自白を強要され、処刑された話を英メディアで知り「今の時代も続くのか…」と衝撃を受けた。

 処刑されたのはナビド・アフカリ選手(27)。南部シラーズで2018年、物価高騰に抗議する反政府デモに参加した際、警備員を殺したとして先月絞首刑に処せられた。

 国連人権高等弁務官事務所などによると、彼は50日間、顔にポリ袋をかぶせられたり、鼻からアルコール液を注入されたりして窒息寸前にさせられたほか、腹や背中、脚を棒などで殴打され、自白を強いられた。金正恩政権下の北朝鮮、ナチス・ドイツの蛮行をも想起させる壮絶な拷問だ。

 人権グループが入手し公開した本人の録音テープによると、彼は「バカげたこの裁判で、私の有罪を示す一片の証拠もない。当局は私の話に耳を傾けない。ロープで絞首刑に処する首を探しているだけだ…」と訴えていた。

 処刑前、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長はイランの最高指導者、ハメネイ師に処刑中止を要求。トランプ米大統領もツイッターでイラン指導部に対し、「この若者の命を救ってくれれば本当にありがたい」と、珍しく穏当な姿勢で呼び掛け、事態解決を急いだ。

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