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ニュース コラム

【朝晴れエッセー】サンパツ・10月3日

 私は、髪形を60年ぶりに変えてみた。

 洗いっぱなしですめば、どれほど楽かと以前からの憧れでもあった。ドライヤーに、クシにリキッドと、それこそおさらばだ。

 髪を整え、一張羅(いっちょうら)を着て出掛ける機会も少なくなってきた昨今、2代にわたって世話になってきた現店主の息子さんに、手入れ不要、洗いっぱなしですむ頭にしてほしいと伝える。

 落ちてくる毛髪は白の方が多いなあと思っているうちにウトウト、目覚めて鏡に己の頭を見て、小さくなったもんだと変に感心する。

 サッパリした頭をかきかき戻ったら、愛犬が私を見てシッポを振るか、振るまいか迷っておった気がした。ワイフは「どないしたん、どないしたん」と笑いながらスマホでカシャカシャやっている。

 そこへ孫3人がやってきた。下のおしゃまな子が「じいの頭、変わっている」と言い、姉は「キショイ」と一言。頭をこすりつけてやる。

 真ん中の男の子は、チラッと一目見てから、下を向いてニッと笑いよった。母親に髪を切られて、それこそトラ刈り以上の“ヒョウ刈り”になった頭を見て大笑いしてやったのは、この夏、民宿に出発する前の日だった。

 新内閣が決まりつつあった頃のニュースで、ある国会議員が「私は地元の理髪店を順番に回って全ての店に行きます」と語っていた。一票を大切にする人の考えであろう。

 私は、いつもの店のいつものイスに座って、ウトウトするだけでいいのだ。

伊藤紘一 80 大阪市生野区

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