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【朝晴れエッセー】病とコロナと患者の気持ち・10月1日

 この夏、乳がんの手術をした。今まで健康で過ごしてきたので、CTもMRIも初めての経験、トンネルをくぐるときには何ともいえない不安な気持ちになり、ああ、自分は今患者なんだと実感した。

 時あたかもコロナまっ盛り。入院時付き添ってくれた息子はロビーで追い返され、入院手続きも荷物持ちも全て自分一人、手術の不安と相まって心細いことこの上なかった。

 入院中ももちろん面会禁止、動けるようになると洗濯しようとランドリーへ出向いたがそこはいつもグルグルと使用中。家族が来れないから皆洗濯機に頼るしかなく、洗い物の袋を下げて病棟をさまよう洗濯難民と何人も遭遇した。

 暇にあかせてネット三昧、おいしそうなものをあれこれ注文していると、留守を守る夫からある日、「冷凍庫がいっぱいになっちゃったので、そろそろポチッは止めてね」とメールが!!

 そんなこんなで入院10日目、また一人で退院手続きを済ませ、ロビーで待ってくれていた娘と病院を出た。暑すぎる太陽が頭上にさんさんと降り注ぎ、雑多な音に包まれたとき、ああ日常に戻ってきたんだとしみじみ感じた。

 乳がんは再発の可能性が術後5年たっても相当数あるため、10年という長いスパンで経過を見なければならないという。内服薬の副作用もあり、私の体はもう病気前とは違う。

 でも、なったものは仕方ない。あせらず、くさらず、あきらめず。何より、日常の大切さを再認識できたこと、患者さんの痛み苦しみを理解できたこと、私を支えてくれる多くの人がいてくれることに気づけたことは大きな収穫だったと思う。

 椿尾妙子 60 看護師 大阪市天王寺区

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