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【春風亭一之輔の直球&曲球】メディアは意地悪に権力を見てほしい

ドキュメンタリー映画「はりぼて」の五百旗頭幸男監督。左はチューリップテレビの服部寿人取締役
ドキュメンタリー映画「はりぼて」の五百旗頭幸男監督。左はチューリップテレビの服部寿人取締役

 映画『はりぼて』を観(み)た。

 とやまチューリップテレビのスクープで富山市議会の政務活動費不正受給が発覚。たった半年で市議会議員14人が辞職した事件を追ったドキュメンタリーだ。

 早い話が政治家による税金泥棒なのである。しかも領収書に数字を書き足したり、やってもない政務報告会をでっち上げたり、コピー代を水増ししたりと、非常にみみっちい。

 みな最初はシラをきる。そこで記者は証拠を突きつける。とても慌てる。

 わからないフリをしてお茶を濁(にご)しつつ、やっぱり数日後謝る。どうかすると土下座をする。泣く。

 それが何人も続く。観てるこちらは笑うしかない。記者は切開して膿(うみ)を絞り出すように、遠慮なく「コソ泥」を挙げていく。

 辞職をする人、しがみつく人、それらを批判していた良識派と思われていた議員も同じことをしている。

 不正をして、反省してると訴え、有権者は「信じたい」とインタビューにこたえ、再選される。

 またもや過去の不正が俎上(そじょう)に載り…もう無限ループ。もう笑えなくなっている。

 「まぁ、どこでもやってることなんだろうな」と呆(あき)れてしまう。実際、渦中の議員も「みんなやってる…」とつい漏らす。伝わってくる「そんなにつつかなくたっていいじゃないか」「なぜわざわざ波風を立てるのか」という空気。

 正直、自分もそう思ってしまっていた。14人も辞めちゃったら市政に影響が出るだろう。そこまで追い詰めなくてもいいのでは…。

 映画の終盤。記者に降りかかる、ある出来事。

 なんと驚きの部署異動。映画のなかでハッキリとは言及していないが、多分「そういうこと」だろう。同情した分、怖くなった。

 メディアは基本的に「意地悪」な目で権力者を見てほしい。

 特に「仲良くなろう」とすり寄ってくる人には要注意じゃないですか、メディアの人たち。

【プロフィル】春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ) 落語家。昭和53年、千葉県生まれ。日大芸術学部卒。平成13年、春風亭一朝に入門して朝左久、二つ目昇進時に一之輔を名乗る。24年、21人抜きで真打ちに抜擢(ばってき)。古典落語の滑稽噺を中心に、人情噺、新作など持ちネタは200以上。

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