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【論壇時評】10月号 新首相誕生と最長政権の功罪 文化部・磨井慎吾

菅義偉首相選出のニュースを伝える東京・秋葉原の大型モニター=16日午後、東京都千代田区(納冨康撮影)
菅義偉首相選出のニュースを伝える東京・秋葉原の大型モニター=16日午後、東京都千代田区(納冨康撮影)

 7年9カ月という憲政史上最長の首相連続在任日数を記録した安倍晋三政権が突然の終焉(しゅうえん)を迎え、先月末からにわかに慌ただしくなった国内政治。結局、同政権で長く官房長官を務めた菅義偉(すが・よしひで)氏が先ごろ行われた自民党総裁選で地滑り的勝利を収め、新首相に就任した。

 論壇誌の発売日はおおむね毎月10日前後であり、そこから逆算して締め切りや校了、印刷・配本の日程が設定されるため、今回のように月末以降に大きな状況変化があった際は、編集上非常に困ることになる。特に、流動的で先行きが予測しづらい政変の場合はなおさらである。月刊誌という形態で、ジャーナリスティックな即応性をどこまで追求するのか。各誌の判断が分かれた月となった。

 かつての「国民雑誌」の意地というべきか、他誌と比べ段違いに速報性を重視しているのは文芸春秋。潤沢な編集リソースを投入し、特集「安倍退陣の衝撃」を組んだ。巻頭に置かれた総裁選出馬3候補の談話のうち、注目の菅義偉「我が政権構想」に割かれた分量は、他2人の倍となる8ページ。菅新首相の立候補意向が報じられたのが先月30日で、候補者が出そろったのが2日であることを考えると、スケジュール的にはかなり攻めた編集といえる。

 その内容は、安倍政権の継承者という立場からは当然であるが、これまでの官房長官としての実績アピールや、自ら音頭を取った政策「Go To キャンペーン」の継続などが主で、特段踏み込んだ発言はない。ただ、新首相が「政治の師」として仰ぐ故梶山静六・元官房長官の「これからは人口が減少し、それだけでデフレになる。国民に負担を強いる政策も必要になる。与党の政治家は国民に対し、その必要性を説明し、理解してもらわなければならない」との言葉が引かれているのは、総裁選中に飛び出した消費税増税発言などと合わせて、安倍政権下では何とか先送りにできていた「不利益の分配」という、戦後このかた直面せずに済んできた誰もが嫌がる政治的課題に、今後は手を付けざるを得ないとの認識をそれとなく示すもので、注目に値するだろう。これから、自分で手を汚す覚悟があるとも読める。

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