PR

ニュース コラム

【大阪特派員】山上直子 ワク無用、梅棹的「知的生産」

梅棹忠夫さんが研究で使用したカードなどが展示された企画展=大阪府吹田市
梅棹忠夫さんが研究で使用したカードなどが展示された企画展=大阪府吹田市

 21日は敬老の日だった。人生100年時代といわれるなか、今年初めて全国の100歳以上の人が8万人を超えたそうだ。健在ならこの人も100歳だった。没後10年の知の巨人、梅棹忠夫(1920~2010年)である。

 梅棹といえば名著「文明の生態史観」(昭和42年)が有名だ。西欧文明と日本文明はほぼ同じ歩みで平行進化したという説を打ち出し世に衝撃を与えた。その独特の発想はいかに生み出されたのか。

 その創造的思考法を広く紹介したのが「知的生産の技術」(昭和44年、岩波新書)である。半世紀も前とは思えない斬新なタイトルに驚くが、そのヒントはあの湯川秀樹博士の助言にあったというのだから、スケールが違う。岩波書店によると、この6月にこちらも100刷を迎え、累計146万部だそうだ。

 もちろん当時はパソコンもスマホもなかった(梅棹はいち早くその時代を予測していたが)。けれどツール(道具)がどれだけ便利になっても、人がそれを生かせなければ意味がない。閉塞(へいそく)感が漂う今こそ、梅棹的発想力が必要なのではないか。

 というわけで、梅棹が初代館長を務めた大阪の国立民族学博物館(通称みんぱく)に出かけた。新型コロナウイルスの影響で延期されていた生誕100年記念企画展「知的生産のフロンティア」を開催中で、知的生産の舞台裏を紹介している。

 「これかあ」

 入り口で早くも足がくぎ付けになった。世界のフィールドワークを通じて集めた膨大な資料を自由に抽出し閲覧できるデジタル・アーカイブズ。AI(人工知能)も利用され、1日いても遊べる情報量と仕掛けが楽しい。

 一方、直筆原稿をはじめ、実物資料も展示されている。戦時中に中国から偽装して持ち帰ったノートなど見どころは多いが、注目したいのはやはりB8判サイズのメモ用紙。単語や文章が書かれ、梅棹は論理的につながりがあると考えたものをまとめ留めるという作業をした。その様子をよろいの部品になぞらえ、「こざね(小札)」と呼ぶ。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ