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【風を読む】コロナ禍で真田紐が危ない?! 論説委員長・乾正人

政治家にも伝統文化を守る「正義の味方」がいることを、菅義偉政権には実証してほしい=9月16日午後、首相官邸(松本健吾撮影)
政治家にも伝統文化を守る「正義の味方」がいることを、菅義偉政権には実証してほしい=9月16日午後、首相官邸(松本健吾撮影)

 正義は勝つ。というのは、テレビドラマの世界だけだと分かっちゃいるけど、ついつい日曜夜は、「半沢直樹」を見てしまう。

 半沢を演じる堺雅人はバンカーだけでなく、逃亡者から弁護士までさまざまな役をこなしているが、NHK大河ドラマの真田幸村も良かった。

 関ケ原の合戦で西軍についたばかりに、故郷を遠く離れた紀州・九度山に流され、無聊(ぶりょう)をかこつ場面も印象深い。そこで家族が内職として編んだのが、「真田紐(ひも)」である。

 真田紐は、世界一細い織物といわれ、柄は90種類以上ある。そんな紐知らない、という方も茶道具を入れる桐箱にかけられている紐、といえばピンとくるかもしれない。現代では披露宴の引き出物を引き立たせる紐など主に装飾用に使われているが、戦国時代には甲冑(かっちゅう)や馬具を固定する紐など日用品として使われていた。

 そんな400年以上の歴史を重ねてきた真田紐が、コロナ禍によって存亡の機に立っている。

 国内で流通する真田紐の大半を製造している金沢市の「織元すみや」(電話076・240・0781)では、売り上げが半減し、市内のアンテナショップを閉め、従業員も減らさざるを得なかった。お土産として購入していた外国人観光客の激減だけでなく、コロナ禍で引き出物を多く使う披露宴や叙勲パーティーがほとんどなくなったのも影響しているという。墨屋太郎社長は「かつてない危機だ。伝統を守るため、ほかの事業の収益をつぎこんでギリギリの状況でやっている」と語る。

 真田紐だけではない。各地の伝統工芸を担っている零細企業や個人事業主は、コロナ禍によって軒並み売り上げが激減し、資金繰りが悪化している。慢性的な後継者難も重なり、廃業を検討している事業者も少なくない。

 先人から伝わる文化財は、いったん途絶えてしまうと、復活は至難の業だ。毛沢東時代の文化大革命によって多くの伝統工芸が失われてしまった隣国の轍(てつ)を踏んではならない。

 「半沢直樹」では、柄本明が利権まみれの与党幹事長を憎々しく怪演しているが、政治家にも伝統文化を守る「正義の味方」がいることを、菅義偉政権には実証してほしい。

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