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【主張】菅政権誕生へ 危機に立つ首相の自覚を 派閥にとらわれぬ人事を貫け

 自民党総裁選で菅義偉官房長官が第26代総裁に選ばれた。

 16日に国会の首相指名選挙が行われ、宮中における認証式などを経て菅新内閣が発足する。平成24年12月の安倍晋三首相の再登板以来、7年8カ月ぶりに新しい首相が生まれる。

 当選した菅氏は「新型コロナウイルス拡大という国難にあって政治の空白は許されない。安倍首相が進めた取り組みを継承し、進めていかなければならない」と語った。安倍政治を発射台にして国民のため全力を尽くしてほしい。

 菅氏は無派閥出身だ。党役員や閣僚の人事では総裁選での約束通り、派閥の要求にとらわれず、適材適所の配置を行うべきだ。

 ≪大局観ある政治目指せ≫

 指摘したいのは、菅氏は戦後初めてといえるような厳しい内外情勢のもと、首相の座に就くことである。菅氏は「危機に立つ首相」という自覚を持ち、指導力を発揮してもらいたい。

 国難は新型コロナ禍にとどまらない。米中対決の激化という国際情勢の大転換や中国、北朝鮮の軍事的脅威増大もそうである。菅氏は大局観をもって日本の針路を描き、国民に分かりやすく説明しつつ政策課題に果敢に取り組んでいかねばならない。

 それには、安倍首相を支えてきた官房長官としての成功体験を思い切って捨て去る必要もある。

 総裁選で菅氏は「行政の縦割り打破」「規制改革」を掲げた。

 菅氏は、複数の省庁がダムをそれぞれ管理する仕組みが水害予想時の事前放流を妨げていた縦割り行政を打破した。台風10号の襲来時にも事前放流量を増やすことができた。住民の命を守ることにつながる成果だ。

 このように、官房長官として硬直した行政を正し、政府・与党内の対立を調整してきたことは評価できる。ただ、「政府の管理人」のような役割の多くは次の官房長官に任せればよい。

 日本の国力や国民の暮らしをいつまでに、どのくらい押し上げていくのか。役所の縦割り、既得権益の打破や規制改革はそのための手段である。具体的目標を掲げ、閣僚に実行させるのが首相の役割といえる。

 不得意とみられているのが、総裁選の論戦で発信が少なかった外交安全保障だ。官房長官とは違って、首相には日本をとりまく国際情勢の大局を把握し、日本と世界にとって必要な秩序、環境をつくっていく役割が求められる。

 菅氏は安倍首相の首脳外交を評価した上で「そうしたことは私はできない。『自分型』の外交姿勢で貫きたい」と語った。

 だが、華やかな首脳外交と、日本が目指す国際秩序、環境を定めて実現の手を打っていくことは同じではない。

 ≪安倍氏をねぎらいたい≫

 米中対立の激化は、東西冷戦終結以来およそ30年ぶりの国際情勢の激変だ。菅氏は同盟国米国やオーストラリア、英仏などの友好国と連携して、中国の覇権志向を抑えるために動くべきだ。

 新疆ウイグル自治区や香港などでの深刻な人権弾圧の責任者である習近平中国国家主席の国賓来日は論外だ。白紙に戻す決断が必要である。

 北朝鮮の拉致問題の解決や、与党の公明党を説得して敵基地攻撃能力の保有など防衛力の充実を進めることも極めて重要だ。

 新型コロナ感染症は、冬にかけて再拡大の恐れがある。安倍政権はインフルエンザとの同時流行に備えた対策などを打ち出した。その確実な推進は当然としても、菅氏が消極的な新型インフルエンザ等対策特別措置法の早期改正も必要ではないか。

 新型コロナで打撃を受けた経済の立て直しとともに、中長期的に経済を成長させる政策を打ち出すことも欠かせない。それが「スガノミクス」と評価されるくらいにならねばならない。

 憲法改正は21世紀の荒波を日本が乗り越えていくために不可欠である。6国会にわたり継続審議となった国民投票法改正案の早期成立を図り、憲法改正原案の策定に進むべきだ。党総裁の菅氏にはその先頭に立ってほしい。

 安倍首相は14日の両院議員総会で、国政選挙のたびに信任を与えてくれた国民に感謝を表明した。憲政史上最長の在任で、身を削るようにして国の舵(かじ)取りを担った労をねぎらいたい。

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