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【朝晴れエッセー】ヨモギマジック・9月12日

 わが家に週3日お泊まりの義母と、昼食後にヨモギ餅を食べた。

 食事の進まない義母に、あと少し食べられたらこれを食べましょうと、好物を出しては頑張ってもらっている。

 遅々(ちち)として減らない食事と違って、ヨモギ餅をペロッと食べられる姿を見ては、少し苦々しい思いもあるけれど、90歳だし、と納得してしまう。

 香りを楽しみながらヨモギ餅を食べていると、実家の冷凍庫に年中入っていた自家製のヨモギ餅を思い出す。便秘気味の母は、父が元気だった7、8年前まで、春先のまだ柔らかいヨモギを摘んでたくさんの餅を作ってはストックしていた。便通が悪くなっても、そのヨモギ餅が効いているとのことだった。

 庭先にも、道端にもあるヨモギは、ままごとの格好の材料にもなった。

 草団子はもちろん、汁物の具として古鍋に入れたりしたけれど、他の草を切った香りは覚えていないのに、ヨモギの記憶は鮮やかだ。

 すりむいた傷に、ヨモギの葉を手で揉(も)んでから貼りつけたこともある。赤チンを塗るまでの応急処置だったと思うが、幼なじみは皆、薬効を信じていた。

 どこにでもある野草なのに、その香りは強く、また、お餅に入れば食欲を誘う。ヨモギマジックを、義母の食事量を増やす作戦にして、しばらくは続けてみよう。

 あと一口のご飯とおかずのために。義母がおいしくお餅を食べられる間に。

前田輝美 62 大阪府岸和田市

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