PR

ニュース コラム

【風を読む】総裁選と東京五輪 論説副委員長・別府育郎

東京・お台場の五輪マークのモニュメント=7月22日夜
東京・お台場の五輪マークのモニュメント=7月22日夜

 歴代連続最長となった第2次安倍晋三政権の7年8カ月は、そのまま菅義偉官房長官の在任期間と重なる。官房長官はかつて「女房役」とも称されたが、「性差による役割の固定化につながる表現」などとする批判もあり、ほとんど使われなくなった。

 平成25年、長嶋茂雄さんと松井秀喜さんに国民栄誉賞を授与した際のやり取りを思い出す。安倍首相が「三振で記憶に残るのは長嶋さんだけだ」と話すと、菅氏は「敬遠されて記憶に残るのは松井さんだ」と付け加えたのだという。当意即妙による、見事なフォローだった。ただし今後は、求められる役割も変わる。

 長期政権の成果はさまざまに語られるが、東京五輪招致と「1年延期」の判断は、もっと評価されていい。

 7年前、ブエノスアイレスで行われた最終プレゼンテーションでは安倍首相自ら「私ども日本人こそはオリンピック運動を真に信奉する者たちです」と訴えた。

 都知事も日本オリンピック委員会(JOC)会長も失脚する中、要所で決裁者としての存在感をみせた。新型コロナウイルス禍でこの夏の開催が危うくなると、国際オリンピック委員会(IOC)に1年延期を提案し、合意した。1国の首脳がIOCを動かした例は稀有(けう)である。

 この直前に会った元五輪メダリストは「延期は中止を避けるために仕方がない。それも1年まで。2年なんて、ばかにするなって話だ」と怒った。それが競技者の思いである。その希望を安倍首相がつないだことになる。

 安倍氏の後継を決める総裁選を争う菅氏、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3氏はスポーツ紙の合同取材で東京五輪について「何としてもやり遂げたい」(菅氏)、「選手の皆さんに最高のパフォーマンスをしてもらう」(岸田氏)、「開催できる可能性を最後まで追求する」(石破氏)とそれぞれ意欲を述べた。物足りないのは、なぜ開催するのか、五輪そのものの意味、意義への言及がなかったことだ。

 コロナ禍で沈んだ気持ちを五輪開催へ前向きに転じさせるには、トップの言葉が必要である。流暢(りゅうちょう)でなくてもいい。魅力ある言葉で思いを発信できるリーダーを求めたい。

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ