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【葛城奈海の直球&曲球】戦中版教科書に見た「優しさ」

終戦の日に靖国神社に参拝に訪れた人たち=8月15日午後、東京都千代田区(佐藤徳昭撮影)
終戦の日に靖国神社に参拝に訪れた人たち=8月15日午後、東京都千代田区(佐藤徳昭撮影)

 戦後75年の夏は「みたままつり」もなく、足早に8月15日がやってきた。コロナ禍が続く中でも多くの参拝者が炎天下の靖国神社に列をなした。私も自衛官有志とともに昇殿参拝をした。しかし、現職自衛官が制服を着用して英霊たちに参ることを良しとしない自衛隊内の風潮は、いまだに変わっていない。

 このほど復刻された戦中の教科書『初等科国語』『初等科修身』を読んで、驚嘆した。「日本人として踏まえておきたい大切なこと」が、やさしい言葉に濃縮されて、ぎゅっと詰まっていたからだ。神話・皇室・神社・祝祭日・軍人・尚武の精神・自然などが題材になっているが、通底しているのは優しさだ。「靖国神社」は、国語と修身の双方に登場する。

 中でも衝撃的だったのは、「大演習」だ。軍隊が「民泊」していたことを、恥ずかしながら初めて知った。演習を終えた兵隊さんが家に泊まるというので、小学生が急いで学校から帰ってくる。お風呂から上がった兵隊さんに「銃や剣を見せてもらって大喜びの弟、夕飯の支度にいそがしいおかあさん。私も、兵隊さんの靴下を火にあぶって、かわかしてあげました」と、軍と民が一体となっていた様子が生き生きと描かれる。さらに、遠くから演習を見ていると、天皇陛下がお出ましになり、「風当(あた)りの強い高地なのに、外とうをも召されず、熱心に戦況をごらんになって」いる。そんな陛下のお姿に、「目が涙でいっぱいになりました」とある。天皇と軍、天皇と国民もまた一体であったのだ。

 通読し、戦後の日本人が失ったものの大きさを痛感した。優しさ、尚武の精神、美学。優しいからこそ、強くなければならなかったし、強いからこそ優しくなれた。平和を守るためには、最終的には命を賭(と)してでも戦う覚悟が必要だ。その覚悟を持った人間を美しいと感じるのが、日本の美学であったろう。そんな日本の強さの根源となる精神を養う教科書だからこそ、GHQ(連合国軍総司令部)が危険視し、墨塗りにしたことは想像に難くない。

 日本が正気を取り戻すためにも、塗られた墨はわれわれの手で落とさねばなるまい。

【プロフィル】葛城奈海(かつらぎ・なみ) やおよろずの森代表、防人と歩む会会長、ジャーナリスト、俳優。昭和45年、東京都出身。東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会広報部会長。著書(共著)に『大東亜戦争 失われた真実』(ハート出版)。

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