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【論壇時評】9月号 敵は全体主義を目指す中国共産党 論説委員・岡部伸

 ソ連共産党から「野望」を引き継いだ中国共産党の毛沢東は、ソ連に酷似した仕組みで全体主義確立を目指したが、文化大革命が失敗し、「走資派」と呼ばれたトウ小平らが台頭。トウは全体主義を退け、より一般的な権威主義路線を取り、国民は、意見表明や物の売買や移動、国外旅行などの自由を得た。

 ところが、2012年の党大会で習近平が総書記に選出されて以降、「毛沢東主義の再興のために全力を尽くし」「中国共産党は再び国民の生活に介入を始めている」と批判。「我々の敵は中国という国家ではない(中略)より完全な全体主義の実現を目指している中国共産党である」と論じる。

 これは、経済発展が民主化を促す「関与政策」が破綻したとして国民が共産党独裁の犠牲になっていると「中国共産党」敵視の新政策を提唱したポンペオ米国務長官演説と共通する。

 そこでフクヤマは、習政権の全体主義支配の特徴は、「科学技術という武器」と主張し、スターリンや毛沢東は恐怖と強制で国民を服従させたが、「強力な経済を武器にして、自分に従う者たちにインセンティブを与えている」と指摘。「中国を支えるのは、怯えた農民たちではなく、満ち足りた中産階級の国民なのだ」と喝破する。

 確かに国民が警察国家体制へ不満を抱かないのは、中国共産党が安定的な経済成長と物質的豊かさを約束しているためだ。

 だが、ハイテク覇権を目指す中国の手法は、米国などの西側先進諸国からの先端技術や知的財産の窃取、自国で生産できない半導体部品調達で製品を低コスト開発・製造し、世界市場に割り込む。さらに欧米に納入した通信機器を通じ、相手国の経済・安全保障や先端技術情報を入手しているとされる。

 トランプ政権に批判的なフクヤマだが、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)排除政策は「目的自体は正しい」と評価する。「自由民主主義国家の国内で、中国という国家の支配力が及んでいる企業に基本的な情報インフラの構築を許すなど、狂気の沙汰である」からだ。

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