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【直球&曲球】中江有里 さらに息苦しい社会にならぬよう

東京・表参道をマスク姿で歩く人たち=26日午後、東京都渋谷区(佐藤徳昭撮影)
東京・表参道をマスク姿で歩く人たち=26日午後、東京都渋谷区(佐藤徳昭撮影)

 長梅雨、豪雨による爪痕(あと)が癒えぬうちに猛暑が始まった。

 子供の頃の夏はこんなに気温は高くなかった。すでに暑さは災害となり、命を脅かすほどの脅威になっている。でもこれをただ自然のせいにしてはいけないだろう。地球温暖化を加速させているのは人間だ。

 加えて今年はマスクを外せない夏になったせいで、暑さがさらにつらい。

 当たり前のようにマスクをつけて外出しているが、熱中症やその他の持病やリスクを抱えてマスクをつけられない人もいるはずだ。だけど見回す限りマスクの顔が並んでいる。

 ある日、知り合いに似た人とすれ違ったが、マスクをつけていたので本人と確信できなくて声を掛けそびれた。自分も同じようにマスク姿なのだから、知らないうちに偶然の再会の機会を失(な)くしているかもしれない。大事ではないが、人と人を分断する感染症の性質を実感した出来事だった。

 先だっての盆休みでは故郷に帰省した人を咎(とが)めるビラを家に貼り付けた件がニュースになったが、自粛警察、マスク警察などという言葉が生まれたように他者の監視をする人がいるらしい。

 感染症に対する考え、その対策、リスクヘッジは人によって違う。それがさらなる人の分断を生んでいる。

 この異常気象と感染症、まったく違うことのようだが、根本に同じものがあると思う。

 それはこの2つの事象は誰もが当事者として捉えなければならないということ。なぜならどちらも人の行動が関係しているから。感染症が拡大しないよう、異常気象が加速しないようにするには、人間の行動がそのカギを握っている。

 2つの事象は、おそらく簡単には止められない。だからこそできるだけ悪化せぬよう、影響を最小限にとどめられるように一人一人の努力が必要となる。そのために誰もが当事者としての意識をもつこと。

 「自分だけは平気」「関係ない」と切り離さず、だけど他者を自分の価値観で断罪しない。マスクで息苦しい社会がさらに息苦しいものにならぬように願う。

【プロフィル】中江有里

 なかえ・ゆり 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー、多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞を受賞し、脚本家デビュー。フジテレビ「とくダネ!」に出演中。文化審議会委員。

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