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【主張】北の経済苦境 独裁維持の当然の帰結だ

 北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会総会は、「経済成長の目標を達成できず、人民の生活を向上できなかった」と総括する決定書を採択した。

 来年1月に約5年ぶりとなる党大会を開催することも決めた。新たな国家経済発展5カ年計画を提示するとしている。

 金正恩政権が「失敗」を内外に認めるのは異例だ。強い危機意識があるとみられ、状況を注視せねばならない。

 2016年5月の前回党大会では、正恩氏が最高位の委員長に就任し、国家経済発展5カ年戦略を掲げた。党は今年、創建75年を迎え、記念日の10月10日、成果を誇示する必要があった。

 決定書は「過酷な内外情勢が続き、予想外の挑戦が重なり、経済事業を改善できなかった」と指摘している。

 国連制裁に加え、新型コロナウイルスや国境封鎖に伴う経済の悪化、最近の豪雨被害のせいといいたいのだろう。豪雨による農地の被害は4万ヘクタールに及ぶという。

 問題なのは、金正恩政権がコロナ禍や水害で自力の対応を主張し、外部の関与を拒んでいることだ。人権侵害がまかり通る実態を見せられないということか。

 金正恩氏は18年6月、トランプ米大統領に「非核化」を約束したが、実行していない。

 北朝鮮の貿易を大幅に制限し、経済発展を困難としている国連制裁は核・弾道ミサイル開発に対し科されたもので、放棄すれば解かれる。核にしがみついていることこそ苦境の最大の要因である。

 もとより今日、体制維持を第一に考える独裁者のもと、計画経済による発展は望みようがない。正恩氏は、成長目標未達は他ならぬ自分のせいだと認識すべきだ。

 注目すべきはこのところ北朝鮮の体制立て直しの動きが活発化していることだ。首相が交代し、党の政治局常務委員会は3人から5人体制に拡充された。

 韓国の情報機関、国家情報院によると、正恩氏の権限の一部が妹の金与正党第1副部長らに委譲された。ストレス軽減や失敗の際の責任回避のためという。

 米朝交渉は行き詰まった。経済の苦境で国民が不満を募らせ、金正恩体制が今後の方向性を模索しているのだとすると、非核化を動かし、拉致問題を解決する余地は必ずそこにある。シグナルは一つとして見逃してはならない。

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