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【記者発】コロナ禍に立ち向かうESG投資 経済本部・米沢文

6月、ニューヨーク証券取引所はWEBを活用しESG投資セミナーを開催した。ESG投資への関心が世界的に高まっている(AP)
6月、ニューヨーク証券取引所はWEBを活用しESG投資セミナーを開催した。ESG投資への関心が世界的に高まっている(AP)

 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、投資判断に環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の視点を取り入れる「ESG投資」の重要性が金融市場で再認識されている。

 治療薬やワクチンの開発、業績が急激に悪化した中小・零細企業の事業継続のため、世界同時多発的に資金が必要とされ、その調達手段として債券の発行が続いているためだ。

 このような社会的課題の解決に向けて出される債券は「ソーシャルボンド」や「サステナビリティーボンド(環境・社会貢献債)」と呼ばれ、ESGの「S」に分類される。今年は新型コロナ感染症が流行し始めた2月以降、これまで「E」や「G」に後れを取っていたSへの資金の流れが強まっている。

 Sに分類される債券の発行が伸びた裏側には、資産運用会社や生命保険会社といった機関投資家の「新型コロナ関連の債券を買いたい」という強い要望がある。ある証券会社の債券発行の専門家は「一緒に危機を乗り越え、新しい世界をつくっていこうという意識の表れではないか」と語る。

 投資の世界はともすれば「マネーゲーム」と思われがちだ。だが、コロナ禍の金融市場で実際に起きていることは、ESG投資の拡大だ。世界中の投資家が金融の機能をフル活用して、必要とされる分野へいち早くお金を回そうとしている。

 数字ばかりの金融の世界に冷たい印象を持っている方もいるかもしれない。しかし、人類の危機に直面して、こうしたお金の流れが起きていることを記者は興味深く感じている。

 ESGは国連が責任投資原則(PRI)を提唱した2006年以降、新たな投資手法として広がってきた。根底にあるのが、「ESGを意識した経営ができている企業こそ、持続的な成長が期待できる」という考え方だ。

 これは、社会への貢献を重視する日本人にぴったりの考え方だと思う。現に最近は、個人投資家の間でも、ESG関連の投資信託や社債が人気と聞く。

 コロナ禍をきっかけに、ESG投資の裾野の広がりが期待できそうだ。

【プロフィル】米沢文

 平成16年入社。20年から東京本社経済本部。これまでに日本航空の経営破綻や日本銀行の大規模金融緩和などを取材。現在は日本銀行、金融業界全般を担当。

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