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【世界の論点】李登輝元総統死去 台湾紙「流血なき民主革命を実現」 中国紙は「台湾化」の礎にいらだち

 本土化路線の推進により、中国からやってきた支配者たちの特権をなくし、台湾の価値観を重視する政治が実現した。李氏の最も素晴らしいところは、その過程で流血も大きな混乱もなしに「最も低コストで静かな革命を実現した」ことだと同紙は絶賛する。

 台湾がその後、中国の激しい統一攻勢に耐えてこられたのも李氏の民主化と本土化路線のおかげであり、台湾は「今も民主主義陣営の先頭として、独裁政権(中国)に対抗している」と同紙は誇った。

 これらの李氏を礼賛する論評に対し、中国寄りの新聞、中国時報は別の見方を示している。同紙は、李氏が台湾の民主化に果たした功績を評価しながらも、政治家としての李氏は「功罪相半ばする」と評した。李氏が晩年、両岸関係を「特殊な国と国の関係」とする「2国論」を提唱したことで、「中国大陸の強烈な反発を招き、両岸の対立関係を深化させた責任がある」と論じた。(台北 矢板明夫)

 ■中国 「台湾化」の礎にいらだち

 このほど死去した李登輝氏について、中国官製メディアは死者に鞭(むち)打つような言葉を連ねた。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は7月31日の社説で「疑いなく中華民族の罪人だ」と罵倒した。

 なぜ、中国側にとって李氏は「罪人」とまでいうべき存在なのか。環球時報は「台湾の民主主義に祖国分裂の根を植え付けた」と一方的に断ずるが、その意味を理解するには中台両岸にまつわる歴史を振り返る必要がある。

 1949年、中国共産党との内戦に敗れた蒋介石(しょう・かいせき)率いる中国国民党政権が台湾に移った。国民党政権は台湾を「大陸反攻(中国大陸奪還)」の拠点と位置付けて一党独裁体制を続けたが、88年に本省人(台湾出身者)として初の総統となったのが李氏だった。民主化を進めた李氏は、その功績から「台湾民主化の父」と台湾内外で広く称される。

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