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【記者発】介護のコロナ対応は利用者負担か 大阪社会部・加納裕子

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館外観=東京都千代田区(納冨康撮影)
厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館外観=東京都千代田区(納冨康撮影)

 再び新型コロナウイルスの感染が拡大している。当初は東京都内の若者だけの話かと思っていたが、今や全国に広がり、重症化リスクのある高齢者が集まる介護事業所は戦々恐々としている。その中で、波紋を呼んでいる厚生労働省の施策がある。

 実際に提供したサービスよりも多い介護報酬を利用者らに請求できるとする特例措置だ。6月1日、「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」という事務連絡で通達された。利用者側からすれば、受けていないサービス分まで支払わされることになり、「納得がいかない」との声が広がる。

 厚労省は「事業所が感染症対策をしっかりやることで安全に過ごすことができ、利用者側にもメリットがある」と説明している。だが、同意が前提のため同意しなかった人は払わなくていいし、利用限度額いっぱいまでサービスを利用していて自己負担が重い人には事業所が請求しないケースもある。同じように“メリット”があるはずの利用者の中で、負担する人としない人が出てしまっている。

 厚労省によると、1割負担の場合、利用者が支払うのは月200~300円だというが、たとえ月数百円でも疑問が残れば事業所との信頼関係に影響する。

 納得がいかないなら同意しなければいいとはいっても、普段お世話になっている事業所からお願いされて、「払わない」とむげに断れる人ばかりではない。同意しなければ不利益を被るかもしれないと危惧し、不本意ながら同意した利用者もいると聞く。

 一方で、事業所の経営がコロナで厳しくなったのは事実だ。大阪介護老人保健施設協会の調査では4~6月、87%の施設で通所リハビリの稼働率が下がり、売り上げが平均約24%減った。マスクや消毒液など感染予防のための費用は多くの施設で増加した。海外からの労働者が来られなくなったり、介護職員が感染を恐れて離職したりしたことによる人手不足も生じている。

 それなのに、経営が厳しい事業所からも、利用者に負担させることに戸惑いの声が上がる。全額公費負担となるような、別の仕組みに変更できないのだろうか。

【プロフィル】加納裕子

 平成11年入社。和歌山支局、大阪整理部、大阪文化部などを経て、令和元年5月から大阪社会部。教育関連の取材などを担当している。

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