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【野口健の直球&曲球】李登輝元総統から頂いた大切なメッセージ

平成30年6月、沖縄県糸満市で行われた台湾人戦没者の慰霊祭で、自ら揮毫(きごう)した石碑を除幕する台湾の李登輝元総統(中央)
平成30年6月、沖縄県糸満市で行われた台湾人戦没者の慰霊祭で、自ら揮毫(きごう)した石碑を除幕する台湾の李登輝元総統(中央)

 李登輝元台湾総統の訃報に大変強いショックを受けた。初めてお会いしたのは10年前。きっかけは高砂義勇隊の慰霊碑に訪れたことだった。旧日本軍に志願して戦った高砂義勇隊に対し戦後、日本政府は日本国籍ではなくなったとして、信じられないことに戦争被害の補償から除外した。日本人として戦い、多くの犠牲を払ったにもかかわらず「もう日本人じゃないから」と突っぱねたのである。なんて情けない国なのだろうと。

 もっと台湾のことを知りたいと、無礼を承知の上、お会いしたいと連絡をいれたら、すぐに快諾の返事を頂いた。あまりの緊張で頭の中は真っ白。しかし、李登輝先生は開口一番「野口さん、あなたの遺骨収集には感心しているんだよ」と温かい言葉をかけてくださった。「実は私の兄がマニラで戦死しました。あなたが遺骨収集していると聞いて、とても感銘を受けました。あなたのように若い人がなぜ、遺骨収集を始めたのですか」と。「今自分が生きている国のために命を懸けてくれた方々に対し敬意を払うべきです。これができなければ、そんな国は滅びるからだと感じています」とお伝えすると「それがアイデンティティーというものです。または同胞愛です。いま日本の政治家にはその『同胞愛』がありません。国を率いる者にとって最も基本で、かつ大切なことは国と国民を愛することです。しかし、政治家の指導者にそれがなくなっている。日本には2つの重大なものが欠けている。それは自国が独立国家であるという自主性、2つ目は、日本人としての誇りです」と。

 李登輝先生に「日本の総理大臣になったら何をおやりになりますか」と尋ねたら「まずは憲法改正です。独立国家としての地位を確立したい。また道徳教育、価値教育を行う必要もある。リーダーが決断するかしないかの問題です」。とても印象的だったのは、「私たちにはまだ大和魂が残っています。今の日本人以上に日本人ですよ。野口さん、あなた方若い人には日本人としても誇りをもって頑張っていただきたい」。このメッセージをこれからも胸に刻んで生きていきたい。

【プロフィル】野口健(のぐち・けん) アルピニスト。1973年、米ボストン生まれ。亜細亜大卒。25歳で7大陸最高峰最年少登頂の世界記録を達成(当時)。エベレスト・富士山の清掃登山、地球温暖化問題、戦没者遺骨収集など、幅広いジャンルで活躍。著書に『震災が起きた後で死なないために』(PHP新書)。

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