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【一筆多論】尖閣の有人化ためらうな 佐々木類

今年4月、尖閣諸島周辺の領海で日本漁船を追尾した中国海警局の巡視船(金城和司さん提供)
今年4月、尖閣諸島周辺の領海で日本漁船を追尾した中国海警局の巡視船(金城和司さん提供)
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 尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有が崖っぷちに立たされている。

 晴れの日もしけの日も連日警戒に当たる海上保安庁の巡視船乗組員らの努力には本当に頭が下がる。その激務に思いを致すとき、冒頭のようなことを口に出すのは不謹慎のそしりを免れないかもしれない。

 だが、誤解を恐れずに言えば、事態は残念ながら非常に危うい状況にある。現場の動画を見ると、そう思わざるを得ないのだ。

 ひと月前になる。東京・永田町の国会内で、尖閣諸島の現状について学ぶ会合が開かれた。

 会合では直前に石垣港を出た漁船の乗組員が撮影した動画が公開された。

 まず目を引いたのが、キハダマグロや高級魚のアカマチなど、2隻で720キロとなる釣果である。尖閣周辺海域が好漁場であることへの理解が深まった。一部は国会に運ばれ、握りずしとして国会議員らに振る舞われた。領海で取れた魚は実にうまいものだった。

 緊張が走ったのは、次のシーンだ。漁を終えた2隻が尖閣諸島の魚釣島を離れたときである。中国海警局の複数の警備船が漁船の追尾を始めたのだ。

 中国警備船は5月にも日本漁船を追尾した。日本の漁船が危険にさらされていることを示す映像だ。拿捕(だほ)して施政権を誇示する予行演習ではないか。今までとは次元の違う挑発だ。

 一方、漁船を守りながら操舵(そうだ)する海保の巡視船の乱れぬ隊列と、それを支える高い技量は素人目にも立派だった。

 警備船に拿捕を許すようなことになれば、中国は尖閣諸島が自らの施政下にあり、国内法に基づいて身柄を拘束したと国際社会に向けて喧伝(けんでん)するだろう。

 日米安全保障条約の骨抜きという狙いもある。日本の施政下にある領域における武力攻撃に対し、米軍が日本防衛の義務を負うとした第5条の無効化だ。

 気になったのは、動画が終わった後のことだ。

 仮に中国警備船が一瞬の隙を突いていち早く魚釣島周辺海域に戻り、「日本の漁船と海保の巡視船をわが国領海から追い出した」などと映像とともに国際社会にアピールした場合、日本は証拠をもって施政下にあると断言できるのか。

 はたから見たら、中国が施政権を行使していると認定されない保証はない。そうでなくとも、日中両国による共同管理下にあると言われかねない状況にある。

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