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【直球&曲球】葛城奈海 商業捕鯨の捕獲枠再考を

 北海道釧路港で水揚げされるミンククジラ=令和元年9月
 北海道釧路港で水揚げされるミンククジラ=令和元年9月

 日本がIWC(国際捕鯨委員会)を脱退し、31年ぶりに商業捕鯨を再開して1年がたった。本来、鯨資源の持続的な活用と保護を目的としていたIWCだったが、反捕鯨国に押されて保護一色になったことから、日本は脱退を決断した。日本も、やるときはやるものだと快哉(かいさい)を叫んだ人も多かったであろう。

 不当な縛りがなくなり、市場に出回る鯨肉が増え、かつてのように安価でおいしい鯨料理を身近に味わえるようになることが期待されたが、現実はどうか。残念ながら、鯨肉は安価にも身近にもなっていない。理由を知って愕然(がくぜん)とした。

 鯨肉供給量はIWC脱退前の調査捕鯨時と比べて約3分の2にとどまっているのだ。捕獲枠の上限は他ならぬ日本自身が決定したというのだから、あいた口が塞(ふさ)がらない。これでは何のためにIWCを脱退したのか、まったく意味が分からない。

 鯨類研究所によると、鯨の年間捕食量は2・5億~4・3億トン。これは、人類の漁獲量の3~5倍に当たる。鯨を過度に保護すれば魚の資源量が減り、生態系のバランスが崩れることは明らかだ。もはや需要がないという声も聞かれるが、鯨肉を見たこともなければ食べる気は起こらないし、高価であれば、なかなか手も出ない。このままでは負のスパイラルにはまり、古事記の時代から続いてきた日本の鯨食文化は衰退・絶滅の道をたどるであろう。そうなる前に、商業捕鯨を軌道に乗せ、将来像を描けるような道筋をつけるのが国の責務であるはずだ。

 好漁場である公海での捕鯨の権利を得るためには国際条約への復帰が必要だ。国際捕鯨取締条約のもとにできたIWCを脱退したからには、これに代わる新たな条約を捕鯨国で作ることも検討すべきであろう。

 江藤拓農林水産相は、商業捕鯨再開1年に際し、「海外からはおおむね冷静な反応を得ている。わが国の対応が非常に評価されていることではないか」と述べているが、実態は「事なかれ対応」が評価されているのである。海の生態系と日本文化、何より日本の尊厳を守るためにも、水産庁には捕獲枠の再考を強く求めたい。

【プロフィル】葛城奈海

 かつらぎ・なみ やおよろずの森代表、防人と歩む会会長、ジャーナリスト、俳優。昭和45年、東京都出身。東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会幹事長。著書(共著)に『大東亜戦争 失われた真実』(ハート出版)。

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