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【一筆多論】「東郷銀杏」帰郷支えた善意 岡部伸

東郷平八郎元帥ゆかりの銀杏の苗木を植樹する呉市の新原芳明市長=1日、広島県呉市の入船山公園内(岡部伸撮影)
東郷平八郎元帥ゆかりの銀杏の苗木を植樹する呉市の新原芳明市長=1日、広島県呉市の入船山公園内(岡部伸撮影)

 「多くのみなさまのご尽力のリレーでこの日の里帰りを迎えることができた」

 広島県呉市の旧東郷家住宅の庭で、7月1日行われた東郷平八郎元帥ゆかりの銀杏(いちょう)の植樹式。新原芳明呉市長は日英両国で広がった善意の輪に敬意を表した。

 銀杏は、英ウェールズのペンブロークドックで日本海軍の軍艦初代「比叡(ひえい)」が建造され、1877年に進水式を行った際に、上野景範(かげのり)駐英特命全権公使が「謝意」の印として寄贈した。

 留学中だった東郷元帥が艤装(ぎそう)員として滞在した宿舎の裏庭に植えられた。「比叡」を回航して帰国した東郷元帥が、日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を破り「東洋のネルソン提督」と称されたため、東郷の銀杏と語り継いできた。

 日英友好のシンボルにと地元郷土史家、デービッド・ジェームズさん(82)が、銀杏を東郷元帥ゆかりの日本に帰郷させる計画を考案した。ウェールズ国立植物園の園芸家が、銀杏の枝や葉の一部を切り取り、土に挿し、発芽させる「挿し木」の技術で、苗木15株を約40センチに育てた。

 本紙国際面で銀杏の帰郷先を募集したところ、東郷神社や呉市、京都府舞鶴市、長崎県佐世保市、神奈川県横須賀市の旧軍港4市などから受け入れの申し入れが相次いだ。

 英国から銀杏の苗木を持ち込むには日本の植物園で養生する必要があった。本紙国際面コラムで、「手弁当で育ててくれる植物園が見つかることを期待する」と書くと、呉市文化スポーツ部の神垣進部長が広島市植物公園の林良之園長から快諾を得た。

 難題の輸送も日本郵船のNYK Group Europe社副社長だった久保田圭二氏が東京の本社と掛け合い、関連会社が無償で空輸することになった。ジェームズさんと浅からぬ縁があったからだ。

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