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【直球&曲球】中江有里 失敗しそうな「実験」をやめる勇気

 マスク姿で東京・新宿を歩く人たち=7月22日午後
 マスク姿で東京・新宿を歩く人たち=7月22日午後

 都道府県をまたぐ移動が解除されてから数度出張をした。行き先はすべて大阪。久しぶりだったこともあり、空席の目立つ飛行機も新幹線も妙に緊張した。「気になるようでしたら」と客室乗務員からアルコールティッシュを渡されて、手が触れそうな肘掛けや各種ボタンなどを拭いてみた。おそらく客が乗る前に除菌は済ませているはず。それでも気になる人への心遣いなのだろう。

 最近はタクシーも電車も窓を開けている。しかし飛行機、新幹線の窓ははめ殺し。数分で内部の空気は入れ替わるらしい。これまで数えきれないほど利用しているのに、換気を気にしたことがなかった。

 感染者がダントツに多い東京在住者として、人に会うのも移動するのも、前ほど気軽には行えない。個人差はあるだろうが、私は仕事という建前があって初めてそれらを行えている。

 だからGo To トラベルキャンペーンは利用しないつもりでいた。キャンペーン実施自体が時期尚早では? という声も聞かれたが、苦境にある観光業に携わる方にとっては、大きなチャンスであろう。

 しかし緊急事態宣言の最中より東京の感染者が増え、16日、東京発着、東京在住者のキャンペーン除外が発表された。そして続けざまに高齢者、若者の団体旅行は対象外と発表された。利用するつもりが対象外になった方からすれば楽しみを取り上げられた気分だろう。リスクは分かるが、居住地と年代で分断される不公平感も否めない。

 ウイルスを0にできない以上、共に生きていくしかない。恐れすぎないでいたいが、まだ全容が分からないので慎重にもなる。

 コロナ禍での様々(さまざま)な選択を「実験」に例えている方がいた。

 前例のない自粛生活も壮大な実験のようなものだった。この場合は感染者が目に見えて減ったのだから成功といえるだろう。しかし実験はいつも成功するわけじゃない。難しい判断だが、大きな失敗をしそうな時は実験をやめるという判断をする。

 それでこそ人々は、リスクのある実験をする勇気を持てる。

【プロフィル】中江有里

 なかえ・ゆり 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー、多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞を受賞し、脚本家デビュー。フジテレビ「とくダネ!」に出演中。文化審議会委員。

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