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【主張】増える豪雨被害 減災直結の適応策を急げ

 熊本県や岐阜、長野両県に加え島根県などが豪雨被害に苦しんでいる。一昨年には西日本豪雨があった。3年前の九州北部豪雨の記憶も生々しい。近年の日本列島では記録的な大雨の深刻な被害が相次いでいる。

 今年の環境白書には「気候危機」という言葉が登場した。近年の気象災害多発を地球温暖化が主因とみなしての警告メッセージだ。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、世界の平均気温が工業化以前に比べて約1度高くなったとしている。

 今年から運用が始まった「パリ協定」では気温の上昇を2度未満(理想は1・5度)に抑えるために、温室効果を持つ二酸化炭素の排出削減を各国に促している。

 この排出削減は、前身の「京都議定書」から続く地球温暖化防止の取り組みで「緩和策」と呼ばれているものだ。

 地球温暖化への対抗手段としてもうひとつの手立てが存在する。「適応策」だ。緑化などで都市のヒートアイランド現象を抑えたり、河川の堤防強化や水田の貯水力を使う「たんぼダム」の活用によって洪水を防止したりする、被害軽減策のことである。

 IPCCも緩和策と適応策を車の両輪に位置付けているのだが、なぜか日本では適応策が二の次にされてきた感がある。

 日本はパリ協定で2030年までに温室効果ガスの26%削減を公約しているが、世界に先駆けて省エネを推進していた日本には削減余地が少ない。実質的に数値以上の大きな負担を抱え込む。

 しかも身を削る努力でこの削減量を達成しても、日本の排出量は世界の約4%なので、世界全体では1%減の効果にしかならない。中国などの排出増でたちまち帳消しになってしまう。

 にもかかわらず、1997年に京都議定書が採択されて以来、日本は効果の乏しい緩和策に力を集中させてきた。巧みな国際世論にあおられた感がある。

 他方、国の治水投資は90年代のピーク時に比べ、近年は当初予算で約4割減の8千億円前後に低下している。これでは記録的豪雨の多発に力負けするわけだ。

 盛夏の熱中症には都市熱や地方での水田の減少も関係していよう。政府は気候変動への適応策を充実させるべきだ。地球環境と共に国民の命を大切にしたい。

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