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【主張】防衛白書 「中国の脅威」を明記せよ

 令和2年版防衛白書の特徴は、尖閣諸島や南シナ海、新型コロナウイルス禍などをめぐる中国の動向に強い警戒感を示したことだ。厳しさを増す安全保障環境に対応していかねばならない。

 白書は、尖閣諸島周辺における中国海警局公船の長期徘徊(はいかい)や領海侵入、日本漁船の追尾を「力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗(しつよう)に継続」するものとし、「全く容認できるものではない」と批判した。

 公船の領海侵入は、尖閣に近い海域での中国海軍艦艇の恒常的活動が支えている点にも触れた。

 これが新型ウイルス感染症が広がるさなかの現実である。中国は国際社会の懸念を無視して、南シナ海の軍事化もやめない。

 コロナ禍に乗じた中国などによる「偽情報の流布を含む様々な宣伝工作」も指摘されていると白書は触れた。

 白書から隣人中国の振る舞いを知れば平和を保つ抑止力の充実が急務だとわかる。ただし、白書には肝心な点が書かれていない。

 中国について昨年版を踏襲し、「安全保障上の強い懸念」で「強い関心をもって注視していく必要がある」と位置づけた。

 この記述自体は当然だが、踏み込みが足りない。「安全保障上の脅威」と明記すべきである。

 核・弾道ミサイル開発を進める北朝鮮について白書は「重大かつ差し迫った脅威」としている。東西冷戦期には、ソ連を「潜在的脅威」とする白書もあった。

 日本と中国の経済的関係は昔の日ソ間よりもはるかに深い。

 そうであっても中国は、尖閣の奪取をねらい、核搭載が可能なミサイルを日本に向けている。台湾に軍事的圧力をかけ、重要なシーレーンが通る南シナ海を独り占めしようとしている。

 政府は国民に対して、中国が安全保障上の脅威であるという真実を明確に伝え、抑止力整備への理解を求めていくべきだ。

 防衛白書の執筆は、政府の従来方針から逸脱しないことを前提としている。脅威と明記し、防衛力整備の必要を広く国民に訴えるには、安倍晋三首相や河野太郎防衛相の判断と指示が欠かせない。

 日本の島や海を狙っている中国に対し必要のない遠慮を政府が続け、脅威とさえ指摘できないようでは日本の防衛意志が疑われ、抑止力を弱めるばかりである。

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