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【スポーツ茶論】非情の中に隠された情の深さ 清水満

ヤクルト戦で9回、得点を許し渋い表情を見せる巨人・原辰徳監督=11日、ほっともっとフィールド神戸(長尾みなみ撮影)
ヤクルト戦で9回、得点を許し渋い表情を見せる巨人・原辰徳監督=11日、ほっともっとフィールド神戸(長尾みなみ撮影)

 巨人・原辰徳監督(61)が4日の中日戦(東京ドーム)で監督通算1034勝目を挙げ、長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督が刻んだ数字に並んだ。過去リーグ優勝8度、日本一3度という実績で積み重ねた。通算14年目の今季も、チームを勝利に導く采配が光っている。巨人の歴代1位、“V9監督”川上哲治氏の1066勝も視野に入った。

 そんな原監督の指揮官としての資質とは…。

 第2次原政権の2013年のシーズン途中、当時、巨人軍取締役会長の渡辺恒雄氏が“変化”をこう話していた。

 「いままでと違って非常に厳しくやっている。村田を2回で代えたり…。ああいうことは、昔の彼にはできなかった。彼の非情の、情け無用の采配が今年の巨人を変えた」

 当時、主力だった村田修一が覇気のないプレーをするとすぐさまベンチに下げた。ほんの一例だが、レギュラーであっても特別扱いはしない采配を絶賛した。07年から3年間、12~14年と2度の3連覇を達成した第2次政権。渡辺会長は、年を重ねるごとに成長する原の姿を見ていた。

□   □

 『非情』とは…。大辞泉によると「人間らしい感情をもたないこと。感情に左右されないこと。また、そのさま」とある。その語感はまるで冷酷無情であるかのようだが、原監督には、それを感じさせない“情の深さ”もある。

 ずいぶん昔の話になる。原監督が現役時代、遠征先のホテルの一室で一緒にテレビを見る機会があった。主人公の男女が迎える結末は不治の病で…というベタなドラマだったが、エンディングで涙を流す姿があった。

 「僕ね、こういうのって弱いんですよ。つい、グッとこみ上げてきちゃってね」

 単純に感情に流されているのではない。この繊細な感情こそが人の機微を察するアンテナになっている。この資質で、選手の微妙な表情から悩みや現状などを察する。そして直接間接を問わず、絶妙なタイミングで選手へのきめ細かなケアを怠らないのである。

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