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【日曜に書く】論説委員・井伊重之 「脱炭素」のチキンゲーム

閣議後に記者会見する梶山経産相。非効率な石炭火力発電所の休廃止に向けた具体策検討を表明した=3日午前、経産省
閣議後に記者会見する梶山経産相。非効率な石炭火力発電所の休廃止に向けた具体策検討を表明した=3日午前、経産省

 「大臣があそこまで明確に休廃止の方針を打ち出すとは思わなかった」

 梶山弘志経済産業相が今月初旬、旧式の石炭火力発電所について「2030年度までにフェードアウト(退出)する仕組みを検討する」と表明したことに対し、大手電力会社幹部は驚いた表情で語る。

 実は電力業界と経産省は石炭火力の取り扱いを水面下で検討していた。石炭の燃焼効率が高く、二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない「超々臨界圧」(USC)以上の高効率型は残し、それ以前の旧式は段階的に休廃止する方向だったが、業界では「30年度」という時期が示されたことに衝撃が走った。

旧式廃止で業界に衝撃

 梶山氏は「具体的な数字は示していない」と指摘し、報道が先行した9割休廃止という方針は認めなかった。だが、同省幹部は「一部の地域で例外はあっても、旧式の運転は原則認めない」と強調する。その具体化に向けて月内にも有識者による議論が始まる。

 石炭火力に対する逆風は、欧州を起点に強まっている。温室効果ガスの排出削減を盛り込んだ「パリ協定」が発効し、昨年12月にスペインで開かれたCOP25では、国連のグテレス事務総長が石炭火力の廃止を訴えた。金融機関もESG(環境・社会・統治)投資の流れを背景に石炭火力への新規融資を止める動きが広がっている。

 一方で日本では東京電力の福島第1原発事故後、石炭火力への依存を強めている。原発事故を受けた安全審査の強化で原発の再稼働は遅れており、発電コストが安い石炭火力が安定電源の役割を担っているからだ。政府も石炭火力を原発と並ぶ基幹電源と位置付けてきた。それだけに休廃止には地域の事情に応じた判断が欠かせない。

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