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【一筆多論】政治家はやっぱり「密」が好き 大谷次郎

インターネット番組で議論した安倍晋三首相=6月20日、官邸
インターネット番組で議論した安倍晋三首相=6月20日、官邸

 「政治家っていうのはお互いに直接話をしないと、いろんなこと言われるんです」。安倍晋三首相は6月20日のインターネット番組でそう語っていた。「仕事の話以外もいろいろすることが政治の場ではとても大切なんです」とも話した。

 この前夜、首相は東京・虎ノ門のレストランで、麻生太郎副総理兼財務相や菅義偉官房長官、自民党の甘利明税制調査会長と会談した。いずれも安倍政権を支える中枢メンバーだが、このところ首相と菅氏の関係悪化がささやかれている。会談はそれを打ち消し、改めて“親密”関係をアピールする狙いもあった。

 この日は県境をまたぐ移動が解禁されたこともあり、首相は自粛していた夜の会合を約3カ月ぶりに再開させた。22日は東京・丸の内の日本料理店で自民党の細田博之元幹事長と会食。24日に東京・赤坂の日本料理店で二階俊博幹事長らと会食した。

 首相だけでなく、自民党各派閥の領袖(りょうしゅう)も動きを活発化させている。麻生氏と二階氏は16日夜、赤坂の日本料理店で会食。二階氏は石破茂元幹事長と8日に会談しており、その石破氏は23日夜、ともに「ポスト安倍」の座を競い合う岸田文雄政調会長と東京・西麻布のすし店で会食している。

 夜な夜な集まって“密談”し、膝詰めで“密計”を練る-。政治版「3密」といったところか。しかし、小人数で集まり非公式に話し合い、政治決断を行うことは「密室政治」「料亭政治」と呼ばれ、非難を浴びてきた。

 平成12年4月、当時の小渕恵三首相が倒れた際、森喜朗幹事長や青木幹雄官房長官、野中広務幹事長代理ら実力者5人が国会近くのホテルに集まって森氏を後継首相に決めた。「密室政治」の象徴として批判され、森内閣は発足直後からつまずいた。

 それでも政治家は鳩首(きゅうしゅ)会談が好きだ。自民党の重鎮議員は「同じ空間で一緒の時間を過ごすことが大事なんだ。そこで何を話したかではない」と言ってはばからない。

 もちろん秘密の話がしたいなら電話やメールの方が他人に悟られずに済む。しかも、新型コロナウイルスの感染を防ぐため「密集」「密接」「密閉」の3密回避が広く浸透し、パソコンなどを使用した「テレビ会議」「リモート飲み会」も定着しつつある。

 政治家同士も「オンライン会談」で良さそうだが、どうしても密談はやめられないようだ。政治家にとって、密談は決して秘密ではないからだ。相手の表情をうかがいながら腹を探り合う。重要な局面では、あえて密談の中身を外に漏らすことで、流れをつくって主導権を握ろうとする。

 麻生氏は6月10日に首相と約1時間も会談し、26日は約40分、30日も20分近く会談している。そして29日は公明党の斉藤鉄夫幹事長と国会内で会談した。

 麻生氏「追い込まれる前の秋に衆院を解散するしかない」

 斉藤氏「まだ準備が進んでいない」

 2人きりの密談のはずなのに、やり取りが漏れてくる。それと前後して永田町に「解散風」が吹き始めた。思惑を感じてしまう。(副編集長兼論説委員)

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