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【記者発】それぞれの「陸上競技」を記憶に 運動部・宝田将志

新型コロナウイルスによって大会出場ができずに終わった部活動の記念撮影をする女子生徒=4月、米シアトルの高校(AP)
新型コロナウイルスによって大会出場ができずに終わった部活動の記念撮影をする女子生徒=4月、米シアトルの高校(AP)

 半年前の自分に「東京五輪は1年延期になる」と言っても全く信じなかったろう。それほど新型コロナウイルスの感染拡大は急速で、影響は強烈だった。

 取材対象であるスポーツ関係者たちも活動自粛を余儀なくされた。試合がなくなり、練習もできない。自宅時間が長くなれば、オンラインの活用が活発になるのは必然だったといえる。少なくないアスリートがファンに向けて、トレーニングや対談の動画をSNSなどに載せた。これまでも見受けられた動きだったが、流れが一気に加速した。

 インターネット関連の取り組みで今、注目しているものがある。「バーチャルディスタンスチャレンジ(バーチャレ)」。全国大会などが中止となってしまった中学生、高校生のための陸上大会だ。

 7月20日以降、800メートルや1500メートルなど対象種目でレース動画を撮影し、タイムを計測。8月14~23日に専用サイトに送ると、全国や都道府県別の記録ランキングが作成される。参加者の動画も閲覧できるようになる。代表発起人を務める男子800メートル前日本記録保持者の横田真人氏(32)は「中高生が次に進むために、やってきたことをきちんと形にすることは大事だと思っている」と狙いを語る。

 インターネットという仕組みは発信者の個性を見える化し、増幅し、届く範囲を広げる。便利ではあるが、結局は“器”でしかない。重要なのは、そこに乗る“中身”だろう。誰に何を伝えたいか。発信者の思考や情熱、理念、感性などがより問われる。

 バーチャレの特徴は、厳密な条件を満たした公認記録でなくても可とした点だ。顧問の先生と走ったり、後輩のペースメーカーが入れ替わりながら先輩を引っ張ったり、保護者が至近距離で選手を応援したりできる。「それぞれが取り組んできた陸上競技を詰め込んで、記憶に残してほしい」。そんな大会主催者の思いが共感を呼び、集まってくる動画の熱が全国に反響することを期待したい。

 事業費はランキングのシステムやサイトの作成など計800万円ほどかかるという。クラウドファンディングで寄付を募り、スポンサー企業も探していくが、「集まらなかったら自腹です」と横田氏。覚悟は相当なものだ。

【プロフィル】宝田将志

 平成13年入社。21年から運動部。ソチ五輪、リオデジャネイロ五輪を現地取材。著書に『四継 2016リオ五輪、彼らの真実』(文芸春秋)。

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