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【主張】スパコン「富岳」 科学技術の裾野を広げよ

 理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューター「富岳」が、スパコンの計算速度ランキングで世界一になった。

 日本のスパコンが首位に立つのは、先代にあたる「京」が2011(平成23)年6月と11月に連覇を果たして以来、8年半ぶりである。

 米国と中国の2強時代が続いていたスパコン開発で、日本の科学技術とものづくりの「底力」を世界に示した。開発チームをたたえるとともに、日本の科学技術全体の活性化、産業競争力の強化につながることを期待したい。

 膨大な情報を短時間で処理するスパコンは、宇宙、生命科学、工学、自然災害や感染症拡大のシミュレーションなど、基礎科学から産業応用までを幅広く支える科学技術のインフラである。

 富岳は標準的な計算速度だけでなく、産業界でよく使う実用計算▽人工知能(AI)向けの計算▽ビッグデータ解析-の3部門の性能でも1位になり、世界初の4冠に輝いた。計算速度では米中の巻き返しで世界一は長く維持できないと予想されるが、使い勝手の良さでの優位性はしばらく保たれる見通しだという。

 富岳の性能を最大限に生かせるかどうか、大学や研究機関、産業界から社会全体までを含めた日本の総合力が問われる。

 日本の科学技術は深刻な低落傾向にあると、国内外から指摘される。国の科学研究予算が増やせないなかで、短期的な成果が見込める分野への「選択と集中」が行き過ぎた結果、科学技術の裾野、土壌がやせ細ったと考えられる。

 富士山にちなんだ富岳を使いこなし、科学技術の裾野を広く豊かにしたい。そのためには官民の連携、産学協力のあり方を抜本的に見直し、緊密で機動的な関係を築く必要がある。

 富岳の本格運用は来年度からだが、新型コロナウイルス関連の試験利用が始まり、治療薬候補の探索などで成果が期待される。創薬や情報通信などの分野で、日本は基礎研究のレベルは高いのに商品化で海外に後れをとってきた。官民、産学が連携して富岳を使いこなすことが、日本の弱点克服につながる可能性がある。

 たとえば、地球環境を太陽活動を含めて宇宙の視点で捉えるような視野の拡大、発想の飛躍につながる利用を期待する。

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