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【朝晴れエッセー】朝食徒然・6月28日

 「この素晴らしき世界」と歌うルイ・アームストロングの濁(だみ)声が低く流れる台所で私は朝食をとっている。

 この間テレビを見ていてアメリカで黒人の基本的人権を認める公民権法が成立したのが1964年と知って驚いた。たった56年前のことである。ちなみに彼は1901年に生まれ1971年に亡くなっている。

 名声を博したとはいえ、人生のほとんどが差別の中にあったのだ。でも彼は屈託のない笑顔と歌声で皆を煙(けむ)に巻いている。今世界各地で差別反対運動が広がっているのは周知のことだ。

 世界といえば、なんと私の世界は小さくなったことか。主人を亡くして2年足らず私の世界は確かに少しずつ小さくなってはきていた。でもコロナ禍で一気に縮小、以来わが家が私の世界である。

 自粛が解けて少しずつ行動範囲を広げているが用事が終わればすぐに家に逃げ帰る。“部屋があなたを守ります”というコマーシャルがあったなァ、と2杯目の紅茶を注ぐ。

 14世紀にヨーロッパでペストが流行(はや)ったとき、教会は無力でそれがルネサンスにつながったとどこかで読んだ。今、われわれはコロナ前コロナ後という歴史の潮の目を目の当たりにしているのだ。

 つかの間の雨上がりの庭に小鳥が来ている。流れる曲はボサノバに。さて朝食も終わりだ。また代わり映えのしない1日の始まりだが余生を生かすも殺すも私次第、上手に折り合いをつけて今日もやっていきたい。このスモール・ワールドで。

山田和(82) 大阪府吹田市

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