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【ポトマック通信】抗議デモに思う

23日、米ワシントンで人種差別撤廃を訴え続くデモ(ロイター)
23日、米ワシントンで人種差別撤廃を訴え続くデモ(ロイター)

 行きつけのドーナツ店で働いている黒人の店員と親しくなった。気のいい若者で、閉店間際に買いに行くと、売れ残りの商品を食べきれないほど袋に入れて持たせてくれたりする。

 黒人男性暴行死事件を受けてワシントンでも抗議デモと暴動が激化していた頃、「君もデモに参加したの」と聞いてみた。

 若者は「ここが終わったら、夜は別の仕事がある。そんな暇はないよ」と笑いながら言った。デモに行くにも時間とカネの余裕が必要というわけだ。

 人種差別解消などの社会正義の実現に向けて抗議の声を上げるのは米国の民主主義の神髄だ。デモに駆け付ける市民らが抱く事件に対する純粋な怒りの感情も共有しているつもりだ。

 しかし、プロの活動家などを除き、平日の朝から晩までデモの現場にいる人たちの多くは、新型コロナウイルス禍で職場や学校が長期閉鎖になっても生活の心配がない境遇にある。

 一日中デモの取材をし、誰もいない支局で原稿を書き上げてから深夜に家路につく。廊下や出入り口で顔なじみの警備員や清掃員とあいさつを交わして外に出ると、バス停には最終便を待つ建設作業員の一団。みな黒人などの有色人種だ。

 熱病のようなデモと暴動を横目に、黙々と社会の根元を支える彼らがいる。(黒瀬悦成)

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