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【世界の論点】黒人死亡事件への抗議デモ 歴史・文化にも波及

チャーチル元英首相の銅像が毀損(きそん)されないように警備に当たる英国の警察官 =9日、ロンドン(AP)
チャーチル元英首相の銅像が毀損(きそん)されないように警備に当たる英国の警察官 =9日、ロンドン(AP)

 米ミネソタ州で5月25日、黒人男性が拘束時に白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件への抗議デモは、全米のみならず欧州にも広がった。デモは当初、人種差別反対を訴えるものだったが、批判の矛先は歴史上の人物や名作映画などにまで波及。記念像の撤去が各地で起き、米国では抗議行動への批判的報道がほぼ封殺される事態となり、英国では学校での歴史教育の見直しを求める声が高まっている。

≪ポイント≫

 ・米国で市民の意見が突然大きく変化した

 ・アイデンティティー政治の波が言論圧迫

 ・帝国主義時代の歴史教育が不十分な英国

 ・歴史上の人物再評価は不毛と英首相警鐘

米国 民主主義を悪化させる潮流

 人種意識が高まった米国では、入植時代の指導者や、南北戦争で奴隷制維持を目指した南部連合(南軍)の記念像などが相次いで撤去され、芸術作品の在り方を見直す動きも加速した。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は11日、「『南部連合』の象徴の撤去は突然始まった」とする記事を掲載した。記念像をめぐっては「奴隷制礼賛の象徴」と主張する撤去派と、「歴史の教訓」とする保存派で意見が分かれ、「何十年」も議論されてきたと言及。だが、抗議活動の結果、「数日間」で多くの像が撤去されたと指摘し、「同性愛者の結婚問題とやや似ている。(変化が)不可能だと常に思われてきたが、一般市民の意見が突然大きく変化した」とする専門家の見解を紹介した。

 こうした流れの中、トランプ米大統領は、南軍将軍らの名前を冠した米軍基地の名称見直しに反発。「歴史的遺産」とするトランプ氏の主張を、12日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は「右翼の怒りを増幅させるため」と評し、「自らの成功に(米国の)分裂が不可欠だと固く信じている」と批判した。

 抗議活動は芸術作品にも波及。「人種的偏見がある」として、南北戦争時の南部を舞台にした名作映画「風と共に去りぬ」の一時配信停止や、警察を好意的に扱う番組の放送中止が相次いで決定した。

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