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【主張】地上イージス断念 猛省し防衛体制を見直せ

 河野太郎防衛相が、秋田、山口両県への地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」(地上イージス)配備計画の停止を表明した。

 安倍晋三首相は了承済みで、事実上の計画断念である。国家安全保障会議(NSC)と閣議で近く追認される。

 地上イージスは総合ミサイル防空能力の柱の一つで令和7年度以降の運用が目標だった。陸上自衛隊が東西2カ所で運用することで日本全域を24時間365日守る態勢が整うはずだった。

 ところが、迎撃ミサイルのブースター(補助推進装置)の落下先を制御しきれないという技術的問題が、日米協議の過程で5月下旬に判明した。改修には多額の予算と長い年数がかかる。防衛省はコストに合わないと判断した。

 断念はやむを得ないが、導入に当たった防衛省と国家安全保障局(NSS)の大失態だ。多額の国費が無駄になり、ミサイル防衛が動揺しかねない。ブースターの問題はもっと重視しておくべきだった。猛省して失態の原因を解明すべきだ。今後は防衛力整備にプロらしく取り組んでもらいたい。

 政府が地上イージス断念の代替策を検討するのは当然だが、防衛体制全般の見直しも図るべきだ。中期防衛力整備計画に加え防衛計画の大綱を改定したらどうか。

 北朝鮮などのミサイルの脅威は高まっている。河野氏は「当面はイージス艦でミサイル防衛体制を維持する」と語ったが、その場しのぎであり、ミサイル防衛充実にはつながらない。中国海軍にも備えるべき海上自衛隊の運用強化を阻むことにもなる。

 北朝鮮ミサイルの奇襲的発射に備えるには2隻程度のイージス艦を日本海に配置する必要があり、その運用は海自にとり大きな負担だ。地上イージスがあればイージス艦を中国海軍への対処に振り向けられた。新たな知恵を絞り、予算をかけて北朝鮮と中国双方に対応できる自衛隊を持つべきだ。

 ミサイル防衛という、相手の攻撃を払いのける「拒否的抑止力」は必要だが、それだけでは国民を守れない点を忘れたくない。対日攻撃を独裁者にためらわせる「懲罰的・報復的抑止力」はコストに見合う防衛力の一種だ。その保有のため防衛大綱を改定し、侵略国のミサイル発射基地・装置を叩(たた)く敵基地攻撃(反撃)能力の本格的整備に乗り出すときである。

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