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【スポーツ茶論】子供たちが遊ぶ姿を再び 蔭山実

バットとボールで遊ぶ子供ら=5月6日、中米グアテマラのビージャ・ヌエバ近郊(AP)
バットとボールで遊ぶ子供ら=5月6日、中米グアテマラのビージャ・ヌエバ近郊(AP)

 新型コロナウイルスの影響で自粛していたからというわけでもないが、休日に自宅で録画した映画を見ていて、思わずポーズボタンを押したくなる場面に出くわした。

 1940年代のアメリカ西海岸のロサンゼルス。高級住宅街の一角だろうか、広いコンクリートの路上で野球をして遊んでいる子供たちの姿があった。ふつうなら見逃してしまうような短い映像だ。

 保険金殺人を描いたビリー・ワイルダー監督の「深夜の告白」といえば、野球に興じる子供たちがストーリーに関係するとも思えない。訪問先を訪れようとスクリーンを横切る主人公を目で追うだけで終わるところだろう。

 だが、この光景が非常に興味深い。兄と妹なのか、少年がボールを投げ、少女がバットで打ち返す。この打撃フォームがなんとも様になっている。打球はジャストミートできれいにはじかれていく。少年の右後ろには、もう一人の少年が立って守備についている姿が映っている。

 映像はそれだけなので、全体像は分からないが、戦後のアメリカ社会で野球が子供たちの日常の遊びであったことが実感できるようだ。

                □  □

 こうした映像が映画の中に残されているのもめずらしいと思うが、日本にも野球を基にしたいろんな遊びがあり、小学校の休み時間に友達と熱中したものである。その一つでよく覚えているのが「ハンドベースボール」と呼ばれるものだった。

 何人かで集まって、1人がゴムのボールを拳で打ち、走って、捕って、また投げるというゲームだ。狭い校舎内のスペースで、校舎の壁に向かってホームラン競争のようなことをしていた記憶もある。

 しかし、いまの時代、子供たちはこんな遊びには魅力を感じないのだろうか。少子化の時代にあって野球への人気が相対的に低迷していくと野球人口もどんどん減っていく。そう聞くと、昔のような遊びの野球をよみがえらせることができないかと思う。

 投げることから、打って走り、捕って、また投げることまで、野球というスポーツにはいろいろな運動能力が必要だ。しかも、いざ動くとなると、そのときどきで異なる判断を求められる。野球をやりながら体を動かすことは子供たちにとってよい運動になると思うのだがどうだろうか。

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 そんなことを考えていて朗報とも思える話を耳にした。「ベースボール5」である。一昨年に世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が考案した5人制のハンドベースボールのような新種目だ。競技を少しでも簡略化して世界規模で野球人口の裾野を広げようというものである。

 バスケットボールには3人制の「3×3」、サッカーには5人制のフットサル、ラグビーには7人制のセブンズがある。野球はずっと9人。草野球ですら1人でも欠けると選手の貸し借りが問題になるほどだ。競技人気を高めるには親しみやすくする工夫が必要だろう。

 ボールさえあれば、どこでもできる「ベースボール5」はすでに世界69カ国に広がり、欧州や中南米では国際大会も始まっている。来年はメキシコでワールドカップ(W杯)も予定されている。

 コロナ禍を乗り越えて動き出した野球界。投げて打って走って捕ってまた投げる-。そんな選手の動きが「どこか楽しそう」と子供たちをわくわくさせてほしい。野球の人気復活へのいろんな努力が実れば、映画のような光景がまた身近に戻ってくるはずだ。

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