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【記者発】日本が目指すべきコロナ後の日常 経済本部・蕎麦谷里志

緊急事態宣言が発令された翌日の4月8日(左)と解除翌日の5月26日の東京・渋谷のスクランブル交差点=いずれも午前8時20分すぎ
緊急事態宣言が発令された翌日の4月8日(左)と解除翌日の5月26日の東京・渋谷のスクランブル交差点=いずれも午前8時20分すぎ

 こんなに人の動きが把握できるのか-。理屈では分かっていたつもりだが、実際に目の当たりにして驚いた。携帯電話各社などが、新型コロナウイルス対策で公表している「人流ビッグデータ」だ。

 データは基地局に届く携帯電話の電波や、スマートフォンに内蔵されているGPS(衛星利用測位システム)で収集。読み解くと、いつ、どこを、どんな人が多く訪れているかが一目瞭然となる。マーケティング用のサービスとして企業に販売していたものだが、新型コロナでは、政府や自治体が自粛要請の効果や、県境を越えた人の移動を確認し、新たな政策判断を行う際の参考情報としている。

 長期戦が予想される新型コロナとの闘いだが、ITという人類が手にした新たな“武器”をフル活用しているのも今回の特徴の一つだ。

 もっともITで見えたのは人の流れだけではない。幅広い業種で導入した在宅勤務も、WEB会議システムなどのIT技術の進展が可能にしたが、日本経済が長年抱えてきた無駄や課題もあぶり出したといえる。コロナ前に在宅勤務を導入したあるメガバンクの頭取が「仕事が再定義されて業務の無駄が見えるようになった」と語っていたが、多くの企業がそのことを実感したのではないか。

 ほとんどの社員が同じ時間に出社し、昼食を食べ、帰宅する働き方では、無駄が生じないわけがない。今後は在宅勤務や時差出勤は当たり前となり、ペーパーレス化が進み、無駄な会議や朝礼、出張などを取りやめる企業も増えるだろう。労働時間をベースとした賃金体系や評価制度の見直しも検討が必要だ。

 一方、在宅勤務に壁を感じた企業も多いと聞く。国の要請に応じて、準備期間もない中で急遽(きゅうきょ)始めたのだから当然だ。ただ、そういった企業ほど多くの課題を抱えていたことを自覚し、解決に向けた取り組みを加速させるべきだ。

 製造業や接客業など在宅勤務が難しい業種もあるが、改善の余地はある。目指すべきは元の日常ではない。コロナ後を見据えた「新しい日常」は、介護や育児をしながら働き続けることを可能とし、地方の雇用を生むことで東京の一極集中も是正する。日本がもともと目指してきた姿とも合致するのだ。

                  ◇

【プロフィル】蕎麦谷里志

 平成13年入社。大津支局、さいたま総局、東京本社社会部などを経て、29年5月から経済本部。現在は総務省や通信業界などを担当。

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