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【主張】コロナ下の裁判員 辞退の増加招かぬ工夫を

 新型コロナウイルスの感染拡大は、裁判員裁判にも大きな影響を及ぼしている。関係者の感染を避けるために4月以降、全国で多くの裁判員裁判の実施が見送られた。

 裁判員裁判では裁判員の選任手続きのため、多いときは100人を超す候補者を裁判所に呼び出す。法廷での審理や評議には3人の裁判官と6人の裁判員が長時間臨む。感染のリスクとなる「密」の状態が生まれやすいことからストップがかけられた。

 最高裁は平成28年、新型インフルエンザなどの感染を想定した業務継続計画を改訂した。各裁判所は今回、この計画に基づいて家庭内暴力や人身保護に関する事件や、被告の身柄に関わる令状に関する事務など、緊急性が高いとされるものは継続した。

 憲法は、被告が迅速に裁判を受ける権利を保障しており、弁護士会からは刑事裁判の延期を「被告の権利を侵害する」と批判する声明も出された。一方で現状は前例のない事態であり、やむを得ない措置だったとの声もある。

 重大事件を扱う裁判員裁判は、裁判官との直接のやり取りや法廷での被告の言動や表情など「空気感」が判断に大きく影響する。このためインターネットを利用したウェブ法廷はなじみにくい。

 それゆえ「裁判員が安心して参加できる環境の確保」(大谷直人最高裁長官)は喫緊の課題だ。工夫をこらして対応したい。

 例えば青森県など、一部で再開された裁判では、裁判員の間を仕切るアクリル板が設置され、審理中の換気が徹底された。傍聴席も間隔をあけて座ってもらい、マスク着用を呼びかけた。選任手続きや評議に使う部屋もこれまでより広い部屋が用意されている。

 最高裁によると、裁判員候補者に選ばれながら、仕事などを理由に辞退する人の割合は昨年、66・7%になり、制度開始時より10ポイント超増えた。裁判員を選ぶ選任手続きに出席しない人も増え、コロナの影響で辞退率がさらに上がるのではないかと危惧されている。

 一方で裁判員を経験した人へのアンケートでは、9割以上がいい経験だったと回答している。

 開始から丸11年となった裁判員制度には、国民が社会の秩序維持に直接役割を果たすという大きな意義がある。経験する前と後の温度差を埋める積極的な広報活動が今こそ求められている。

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