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【論壇時評】6月号 コロナ禍抑制「ファクターX」とは何か 文化部・磨井慎吾

5都道県の緊急事態宣言解除について会見する安倍晋三首相が東京・新宿の巨大モニターに映し出された=25日(桐山弘太撮影)
5都道県の緊急事態宣言解除について会見する安倍晋三首相が東京・新宿の巨大モニターに映し出された=25日(桐山弘太撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて4月上旬に発令された政府の緊急事態宣言が、ついに全ての都道府県で解除された。もちろん今後の再拡大は十分に懸念されるが、第1波はひとまず収束しつつあるとの判断が広がっている。

 現在、世界最悪の感染状況となっている米国は感染者数約160万人、死者数が10万人に迫り、欧州主要国も軒並み万単位の死者を出している中で、国内の死者は5月下旬現在で約850人。概して感染被害の少ないアジア諸国の中では特筆すべき数字ではないとの見方もあるが、世界的には感染被害をかなり小さく押さえ込んでいる部類に入るのは間違いない。

 では、何がそうした「成功」をもたらしたのか。日本では諸外国で見られた強権的な都市封鎖や市民のプライバシーに大きく踏み込んだ感染者の徹底追跡のような厳しい措置は行われず、行政が発した自粛要請への市民の協力を期待するという、国際的に見ればごく緩い対策しかとられなかった。このため、成功の理由をなかなか絞り込めず、当惑含みの議論が交わされている。

 元大阪府知事の橋下徹と京都大iPS細胞研究所所長の山中伸弥による文芸春秋の巻頭対談「ウイルスVS日本人」では、山中は「僕が今とても気になっているのは、日本の感染拡大が欧米に比べて緩やかなのは、絶対に何か理由があるはずだということです。何が理由かはわからないのですけれど、僕は仮に『ファクターX』と呼んでいます」と述べる。

 このファクター(要因)かもしれないとして対談中で挙げられるのは、マスクや入浴の励行などに見られる衛生習慣、握手やハグといった肉体的接触や大声での会話が少ない文化、結核予防のため乳幼児期に接種するBCGワクチンが予想外の効果を発揮したとする見方、はたまた比較的弱いタイプの新型コロナウイルスが3月以前の段階ですでに流行しており国民の多くに免疫ができていたとみる仮説など、実にさまざまな可能性だ。山中は「それがわかれば新型コロナとの向き合い方は確実に変わってくるはず」として、大規模抗体検査の実施などによる「ファクターX」の早期特定が重要だと訴える。

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