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【風を読む】マスクと経済安全保障 論説副委員長・長谷川秀行

 いまだ拙宅に届かない「アベノマスク」のどうしようもない遅さはさておき、新型コロナウイルス禍の第1波が収まってきた最近になり、ようやく筆者の周りでもマスクを売る店が増えてきた。このまま第2波も乗り切れるかは分からないが、新しい生活様式に対応すべき今、マスクが店頭に並んでいるのは、やはりありがたい。

 新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)で明白になったのは、医薬品や医療機器、食料などの確保が、いかに重要かということだ。他国への医療支援で存在感を高めようとする中国の「マスク外交」を想起するまでもなく、非常時に欠かせない物資は国家の危機対応を大きく左右する。

 万全の備蓄を講じておくべきはもちろんだ。国内の生産体制を増強することも求められよう。同時に忘れてはならないのが、物資を生産する日本企業が外国企業に買収されないよう手を打つことである。

 先に政府は外国企業からの出資に網をかける改正外為法の規制で、もっとも厳しく扱われる業種として医薬品や医療機器関連を追加する方針を打ち出した。武器や原子力、サイバーセキュリティーなど安全保障に絡む企業の買収規制と同様の位置づけだ。

 戦略分野の買収を阻む動きはウイルス禍前から日米欧で強まっていた。主に中国企業の買収攻勢を念頭に技術流出を防ぐためで、日本では改正外為法が今月8日に施行されて規制を強めたばかりだ。間髪を入れず医薬品などを対象業種に加えるのは、感染拡大の深刻さを踏まえれば妥当である。

 外資規制を強めると、しばしば投資の自由をゆがめると批判される。しかし国の安全に関わる分野を厳格に管理するのは当然だ。その上で自国製品や技術を国際社会に役立てるよう努めればいい。外資規制を自国優先の保護主義的措置とみるのは誤りだ。

 ウイルス禍で経済が凍り付き、多くの企業の財務が悪化した。医療関連だけではなく、経営が悪化した日本の製造業に触手を伸ばそうとする外資もあろう。はっきり言えば、中国企業の買収攻勢が強まることへの懸念だ。それが経済の安全保障を揺るがせることがあってはならない。あらゆる面で監視の目を強める必要がある。

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