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【一筆多論】新薬承認めぐる判断の鍵 佐藤好美

 医療の取材を開始して気づいた一つに、患者団体の対立がある。

 新薬の早期承認を求める団体と、薬害の再発防止を訴える団体の意見には大抵、大きな差異がある。

 当たり前なのである。

 「できるだけ早く承認を」と「安全第一に承認を」はしばしば両立しない。

 どちらが正しいか、ではない。両者が納得する「道」を見つけられるかどうかが問われる。

 鍵は、はっきりしている。薬の効果が確実かどうかだ。それに尽きる。

 新しい薬が、薬として認められ、使われるには、国の「承認」が必要だ。

 承認を得るために、製薬会社や研究者のグループは、薬が「効くかどうか」と「安全かどうか」を確かめる。「治験(ちけん)」と呼ばれるプロセスだ。

 効果の検証は、薬を使った場合と、使わなかった場合を比較して行われる。いわば、対照実験である。そうしないと、効いたのか、自然に治ったのか分からないからだ。

 医薬品の承認に対照試験が必要になったのは、副作用で多くの被害者を出したサリドマイドがきっかけだとの説がある。薬害を経験し、医学は効果の確認に厳密になった。

 誤解してはいけない。リスクがダメなのではない。リスクを上回る効果、あるいはリスクを踏まえても効果があるかどうか、が問われる。

 リスクと便益はてんびんの上にある。新薬を求める患者団体には、がんなど重い疾患の団体が多い。リスクを引き受けても、薬に効果があるなら使いたい切実な願いがあるからだ。

 サリドマイドは今、多発性骨髄腫に効果が認められ、治療薬として使われている。リスクに関する情報共有と、厳密な利用管理が行われる。

 「日本の承認は遅い」と信じられている。しかし、事実は少し違う。日本の審査期間は今、米国と1位、2位を争うほど短い。

 昨年、再生医療等製品の承認に、海外から「早すぎる」とクレームがついた。再生医療等製品は対照試験が困難だ。そこをとらえて、効果の検証が不十分だと批判されたのだ。

 効果の検証が不十分なら患者の不利益になる。

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